東京ドキュメンタリー映画祭で栄誉に輝く『なれのはて』の姉妹編。フィリピンに住む“わけあり”男性を取材した『ベイウォーク』

 フィリピンに住んでいる“わけあり”の初老男性をフィーチャーした一作。監督・撮影・編集は粂田剛が手掛けており、第3回東京ドキュメンタリー映画祭でグランプリ&観客賞を受賞した『なれのはて』の姉妹編といってもいいだろう。そこでとりあげられなかった人たちが登場する。

 大きく紹介されるのは、赤塚さんと関谷さん。ふたりはマニラの同じ地域(といっていいだろう)で生活しているが、かたやホームレス、かたや高層マンション住まい。粂田監督は当然、両者を取材しているが、両者が交わることはない。内容から漂うのは、現地の人々と交流する赤塚さん、基本的に部屋にこもって独りを楽しむ関谷さんの、ある種対照的な人生観。が、共通しているのは、お金がないということ。であるにもかかわらず、タバコをひっきりなしに吸っていることだ。

 画面を見る限り、「ベイウォーク」は、キューバのマレコンに相当する場所であるように感じられた。たぶん、海は今日も輝いているのだろう。厭世にとりつかれたひとたちの生命を飲み込みながら……。12月24日より新宿K’s cinemaほかにて全国順次公開。

映画『at Baywalk ベイウォーク』

2022年12月24日(土)新宿K’s cinemaほかにて公開

出演:赤塚崇、関谷正美
監督・撮影・編集:粂田剛 音楽:高岡大祐 調音:宮崎花菜 調音監修:浦田和治 デザイン:千葉健太郎 HP制作:久保田かおり 製作:有象無象プロダクション 配給・宣伝:ブライトホース・フィルム
2022/日本/DCP/カラー/90分
(C)Uzo Muzo Production

公式サイト
https://atbaywalk.com/