俳優・写真家としても活躍する櫻井圭佑がメガホンをとり、2021年に主演の小橋川建と共同で企画。ほとんどのスタッフが20代という若さでつくりあげた一作『君に幸あれよ』が、2月4日から渋谷ユーロスペースほか全国順次ロードショーされる。
小橋川が扮する真司は、債権回収などで暮らす“裏世界の男”。何をしでかすかわからない怖さ、何かしでかしたときの怖さ、ルックスや声の怖さもあってか、巷では狂犬と呼ばれている。過去に舎弟分を失って以来、人間との関わりを避けてきたところもある真司だったが、ひょんなことから理人と名乗る青年と出会い、次第に心の固さを解きほぐしていく。だが穏やかな日々は長くは続かない。「狂犬」を脱しようとしている真司なのに、彼に対する周りの目は「狂犬」を見るそれのまま。そのとばっちりが、真司の稼業とは何にも関係ないはずの(カタギの)理人にも来てしまう。
「周囲の無理解の前では、友情などひとたまりもないのだ」。こう思うと画面を見ていて切なくなってくるばかりだが、それでも真司は希望を捨てない。ラスト・シーンに至る展開は、「不良やチンピラの映画など見たくもないわ」とうそぶく層にも訴えるのではないかと、個人的には感じた。櫻井と小橋川は、是が非でもこの映画を完成させ、世に問いたかったのだ。「男のロマン」という言葉を、思い出した。ベテラン諏訪太朗のひょうひょうとした演技も画面をひきしめている。
映画『君に幸あれよ』
2月4日(土)より渋谷ユーロスペースほか全国順次公開
<キャスト・スタッフ>
小橋川建
髙橋雄祐 / 玉代勢圭司 海老沢七海 久場雄太 浦山佳樹 鈴木武 二宮芽生
松浦祐也 中島ひろ子 諏訪太朗
監督・脚本・編集:櫻井圭佑
撮影:寺本慎太朗 照明:渡邊大和 助監督:柳田鉱 撮影助手:長橋隆一郎 録音・整音:寒川聖美 ヘアメイク:UBI 制作:鹿江莉生 音楽:鶴田海王 アソシエイトプロデューサー:前信介 プロデューサー:小橋川建、櫻井圭佑、髙橋雄祐 配給・宣伝:MAP
2022/日本/カラー/78分
(C)映画「君に幸あれよ」製作委員会