『夜霧のジョギジョギモンスター』をリメイクした『悪魔の奴隷』から6年。その続編『呪餐 悪魔の奴隷』が待望の日本公開

 かつてイスラム教圏で最も怖いホラー映画として話題を集めた『夜霧のジョギジョギモンスター』のリメイク作品『悪魔の奴隷』(2017年)の続編であるという。インドネシアアカデミー賞7部門ノミネート作品、同国史上歴代興収第3位のヒットを記録したときいた。

 ジャカルタには2度行ったことがあるのだが(フュージョン・ミュージックがとても盛んなのだ)、不勉強にして、インドネシア語の映画は初めて観た。パ行の多い感じの発音に、ちょっとタイの言葉を思い出した。時代は1984年、舞台はジャカルタ北部の高層アパート。因縁の一軒家から飛び出して、リニはここに移り住んできた。母と祖母を亡くし、末弟は行方不明。それでもどうにか生きているのだが、リニのまわりには恐怖や不安が後を絶たない。ある日、アパートのエレベーターが落下して、多数の住人が死亡。さらに大嵐がアパートを襲い、浸水が始まった。

 薄暗い画面の中で、リニのウェイ・オブ・サヴァイヴが淡々と繰り広げられていく。あたり一面、遺体。あたり一面、暗闇。その事実を受け入れ、いかに冷静に、しかも前向きな気持ちを失わずに、時を過ごしていくか。「そうだ、インドネシアはイスラム教の国だったな」と再認識させられるシーンもある。ジャンルとしては確かにホラー映画であるとはいえ、ショッキングな音響や表情の迫力で驚かせるそれとは別種の、やけに“静の力”を感じさせる一作である。

映画『呪餐 悪魔の奴隷』

2月17日(金)より、全国ロードショー
(C)2022 Rapi Films

公式サイト
https://jusan-movie.jp/