「エッフェル塔」はこの男が、こうして設計した。19世紀後半、地球を揺るがした一大建築イベントが照らし出す人間ドラマ『エッフェル塔~創造者の愛~』

 すこぶる新鮮な一作だった。良い作品は「エンターテインメント」と「エデュケーション」の要素を兼ね備えているものだが、この映画も例外ではない。筆者はもちろんエッフェル塔の存在は知っている。訪ねる機会には恵まれていないが、いろんなところで画像を見る。が、それ以上、とくに何も思いを寄せることのないまま今まで来てしまった。が、この映画はしっかりとエッフェル塔について学ばせてくれると同時に、その時代背景、身分の上下などについても思いをめぐらせてくれる。だいたい筆者は今の今まで、「エッフェル塔」の「エッフェル」が人名であることすら知らなかったのだ!

 エッフェル塔を建築したギュスターヴ・エッフェルを演じるのは、名優ロマン・デュリス。時代背景は1880年代後半だ。エッフェル塔建築プロジェクトは、パリ万博に合わせて、という目標はあったものの、なにしろ歴史上かつてないことであり、しかも高ければ高いほど天に近づく=神への冒涜に当たるということで、一部ではバッシングの嵐なのだ。それをどう説き伏せ、多数集まった建築職人たちをも納得させて動かしてゆくか。そこが物語の大きなポイントとなる。

 映画で描かれるギュスターヴはたいへんな熱血漢。物事に取り組む熱量は仕事に限らず、恋においても変わることはない。彼にとっての“忘れられないある女性”とのシーンが、作品のなかでカンフル剤的役割を果たしているところも見逃せまい。監督は超大作『三銃士の』映画化でも注目のマルタン・ブルブロン。

映画『エッフェル塔~創造者の愛~』

3月3日(金)新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座、ヒューマントラストシネマ渋谷他全国順次公開

出演:ロマン・デュリス、エマ・マッキー、ピエール・ドゥラドンシャン、アレクサンドル・スタイガー 、 アルマンド・ブーランジェ、ブルーノ・ラファエリ

監督:マルタン・ブルブロン
脚本:カロリーヌ・ボングラン 音楽:アレクサンドル・デプラ 編集:ヴァレリー・ドゥセーヌ 美術:ステファン・タイヤッソン
2021年│フランス・ドイツ・ベルギー│フランス語│ 108 分│カラー│ 5.1ch │ドルビーデジタル│シネスコ│原題:EIFFEL │字幕翻訳:橋本裕充│ R15
提供:木下グループ
配給:キノフィルムズ
(C)2021 VVZ Production Path e Films Constantin Film Produktion M6 Films

公式サイト
https://eiffel-movie.jp/