バイクを愛し、バイクに愛される女性・ジュリアの「強さ」に光を当てた話題作が日本上陸。『Rodeo ロデオ』公開へ

 2022年のカンヌ国際映画祭・ある視点部門で、クープ・ド・クール・デュ・ジュリー賞を授与。「そんな賞、あったかな」と思った方もいらっしゃるかと思うが、これは本作のために特別に設けられた賞で、ネーミングには“審査員の心を射抜いた”という意味あいが込められているという。

 それだけでこの作品『Rodeo ロデオ』の異例ぶりがわかる。自らノンバイナリーを公言する気鋭の女性監督、ローラ・キヴォロンの長編デビュー作だ。「現代だからこそ」という視点に彩られたこの一本が、6月2日から全国公開される。

 主人公のジュリアはバイクを愛し、バイクに愛されているといっても過言ではない女性。メカニズムにも熟知していて、さらに「曲がったことは許せない」マインドの持ち主でもある。ある日、ヘルメットもつけずに公道を疾走していたら、やはりアクロバティックにバイクを操っているバイカー集団と出会う。とあることを通じて(このあたり、物語の核心に迫る)、ジュリアは彼らと交流を持ち、彼らが組織する秘密結社の一員となった。男社会に入り込んだわけだ。

 中にはごく普通に接してくれるひともいたが、もともとマッチョな不良集団である。差別、偏見、いやがらせなど日常茶飯事だったものの、ジュリアはそれを乗り越えてゆく。とある女性や子供との交流は、一見不愛想な彼女が、いかに細かい気づかいの持ち主であるかもしっかり伝える。

 ラスト・シーンに向けて一気に加速していく最中、少なくとも二度のクライマックスが訪れるように感じられたが、この描写がなんともロマンティックで、先のカンヌでヴァレリア・ゴリノ、デブラ・グラニック、ヨアンナ・クーリクといった映画人が称賛したというのも、こうしたタッチも込みでの評価だったのではなかろうか。バイクの爆音、トリッキーな乗車テクニックの数々も含めて、スクリーンの大画面でぜひ体感したい一作だ。出演はジュリー・ルドリュー、ヤニス・ラフキ、アントニア・ビュレジ、コディ・シュローダーほか。

映画『Rodeo ロデオ』

6月2日(金)より公開
監督:ローラ・キヴォロン
配給:リアリーライクフィルムズ、ムービー・アクト・プロジェクト
(C)2022 CG Cinema / ReallyLijeFilms.
(C)ReallyLikeFilms 2023

公式サイト
https://www.reallylikefilms.com/rodeo