福岡県北九州市が舞台。人生を見つめ直す男の、人間くささたっぷりの物語『逃げきれた夢』

 世代間交流が成果をあげた重厚な一作である。12年ぶりの映画単独主演となるベテラン・光石研の主演作品のメガフォンを、気鋭・二ノ宮隆太郎(本作は商業映画デビュー作)がとった。『ヤクザと家族 The Family』などに俳優として登場するキャリアを持っているが、今回は監督・脚本を担当している。第76回カンヌ国際映画祭ACID部門正式出品作品。

 福岡県北九州市でのロケーション。ここの定時制高校で教師を務める周平を主人公とした人間模様が描かれる。父は認知症を患い、介護施設にいる。周平は妻・娘との3人家族で淡々と暮らしているが、あることをきっかけに自分の記憶の薄れが進んでいることが分かってくる。

 続いて湧いてきたのは、実に静かなる、しかし確実な「あせり」だ。家族や父との関係はもちろん、友人、同僚、教え子たちの関係を、今できるうちに、よりよい形で、しっかりとしておきたい。周平はひたすらアクティヴに動く。「真の老い」を目の前にすると、人間、ここまでふっきれるものなのか。そんな彼を快くリラックスさせるのが、松重豊ふんする親友の啓司。熟練俳優ふたりによる、まるで本当に竹馬の友であるかのような和やかな九州弁トークも大きな見もの聴きものだ。

 出演はほかに吉本実憂、坂井真紀、工藤遥など。撮影は『ドライブ・マイ・カー』、『宮本から君へ』などで知られる四宮俊彦が手掛けた。6月9日から新宿武蔵野館、シアター・イメージフォーラムほかロードショー。

映画『逃げきれた夢』

6月9日(金)より新宿武蔵野館、シアター・イメージフォーラムほか全国ロードショー

<キャスト>
光石研
吉本実憂 工藤遥 杏花 岡本麗 光石禎弘
坂井真紀 松重豊

<スタッフ>
監督・脚本:二ノ宮隆太郎
製作総指揮:木下直哉 プロデューサー:國實瑞惠 関友彦 鈴木徳至 谷川由希子 撮影:四宮秀俊 照明:高井大樹 録音:古谷正志 美術:福島奈央花 装飾:遠藤善人 衣装:宮本まさ江 ヘアメイク:吉村英里 編集:長瀬万里 音楽:曽我部恵一 助監督:平波亘 制作担当:飯塚香織 企画:鈍牛倶楽部 製作:木下グループ 配給:キノフィルムズ 制作プロダクション:コギトワークス
(C)2022『逃げきれた夢』フィルムパートナーズ

公式サイト
https://nigekiretayume.jp/