地球を、環境を、考え直そう。示唆に富む2作品を特集上映。「エシカル・ライフ・シネマ特集」

 時間に追われるような毎日を過ごしていると、ふと自分が地球に住んでいて、資源には限りがあり、自然というものには人智を超えた力があるということを、時折忘れそうになる。そんなひとへの警鐘というべき2作品が、「エシカル・ライフ・シネマ特集」として上映される。

 『リファッション』(監督、プロデューサー:ジョアンナ・バウアーズ)は、香港が舞台。個人的にも観光で行ったことがあるので親しみのあるところだが、不勉強にしてゴミが激増して問題になっているとは初めて知った。

 消費者がどんどん買ってしまうことや、中国が他国から廃棄衣料などの廃棄物の輸入を禁止していることも原因であるという。そこで、この映画では確かなオピニオンを持つ3人がフィーチャーされる。香港の大手繊維メーカーの協力を得て廃棄衣料から糸を取り出し(水と薬品を使用せずに)、そこから新たな服をつくりだす「香港繊維アパレル研究所(HKRITA)」のCEOエドウィン・ケー、子供服の古着をネット販売するサラ・ガーナー、香港では分別廃棄する習慣がないというペットボトルのリサイクルに挑むエリック・スイントン、彼らの物の考え、行動は示唆に富み、英語(=世界語・地球語)を使っての発言は雄弁だ。

 モービーの音楽も印象的な『ミート・ザ・フューチャー』(監督;リズ・マーシャル)は、培養肉の企業「アップサイド・フーズ(旧メンフィス・ミート)」のCEO兼共同設立者のウマ・ヴァレティ博士を2016年から2019年まで(つまり新型コロナの前年まで)追いかけた一作。培養肉とは、おおざっぱにいえば、動物の細胞から肉を育てるというもの。いわゆる「屠殺」や、畜産由来の温室効果ガス、世界の陸地の半分近くを占めるという畜産用の土地を減少させるものとしても、増えつづける世界の肉の消費量への解決策としても注目されている。ビル・ゲイツ、リチャード・ブランソン、ソフトバンク・グループなどはここに投資しているが、いっぽうで畜産業者からの風当たりも強い。

 「肉は本物の動物の屠殺に限る」派も、そうでない派も、同じ空の下にいて、生きていれば未来は等しくやってくる。そのときに、人間としてどうするか。以上2作品は6月9日から恵比寿ガーデンシネマ、アップリンク吉祥寺でロードショー。

特集上映『エシカル・ライフ・シネマ特集』

6月9日(金)より恵比寿ガーデンシネマ、アップリンク吉祥寺にて公開

『リファッション』
(C)CHEEKY MONKEY PRODUCTIONS ASIA LTD 2021
https://www.uplink.co.jp/refashioned/

『ミート・ザ・フューチャー』
(C)2021 LizMars Production Inc
https://www.uplink.co.jp/mtf/