『クリフハンガー』、『ダイ・ハード2』、『ディープ・ブルー』などを手掛けた監督を務めたレニー・ハーリンの新作というだけで、痛快なアクションや二転三転するストーリー展開は約束されたといってもいい。原作はポール・リンゼイがノア・ボイド名義で上梓したサスペンス。円熟の域に達したアーロン・エッカートが主人公の男・ヴェイルに扮するのだが、そのキャラクターが面白い。現在はレンガ職人だが、かつては辣腕のCIA捜査官、しかもジャズ・トランペッターのマイルス・デイヴィスの大ファンなのだ。何かあるとマイルスの演奏をイヤフォンで楽しんでいるのだが、そのセレクションが「ダウン」、「ブルースNo.2」、「マイルス・アヘッド」と、また渋い。この3曲が収録されているアルバムを即答できたら、あなたは相当なマイルス・フリークである。
マイルスを聴きながらレンガ職人として平穏に過ごしている彼が、なぜ「現場に復帰」せざるを得なくなったのか。きっかけは、ひとつの「事件」だった。反アメリカを唱える女性記者が、ギリシャで遺体として発見されたのだ。これをCIAのしわざとする風潮を重く見たCIA側が真犯人を洗い出したところ、ラデックという元諜報員にたどりついた。ラデックはかつてヴェイルの同僚で友人だったことから、ヴェイルが久々に駆り出されることになる。以降の展開は手に汗握るものだが、スリルに次ぐスリルというべき展開のなか、恋のシーンがよきチェンジ・オブ・ペースとなっている。
映画『ブリックレイヤー』
3月22日(金) 新宿バルト9ほか全国ロードショー
監督:レニー・ハーリン 原作:ノア・ボイド「脅迫」(ソフトバンク文庫刊) 脚本:マット・ジョンソン、マーク・モス 撮影:マッティ・エーリカイネン 編集:イアン・アースキン 音楽:ヴァルター・メア 製作:ロバート・ヴァン・ノーデン、ヤリフ・ラーナー、ハイディ・ジョー・マーケル、レス・ウェルドン、ジョナサン・ヤンガー
出演:アーロン・エッカート、ニーナ・ドブレフ、クリフトン・コリンズ・Jr、ティム・ブレイク・ネルソン
2023年|アメリカ、ブルガリア、ギリシャ|カラー|シネスコ|5.1ch|110分|英語|日本語字幕:北村広子|原題:THE BRICKLAYER|レイティング:PG12|配給:クロックワークス
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