おしえておじいさん! あの名作『アルプスの少女ハイジ』が“18禁”で帰ってきた。『マッド・ハイジ』

 「なるほど、これは“マッド”だ」と、つい声が出た。

 アルプスには少女ハイジが暮らしていて、その恋人の名前はペーターで、おじいさんもしっかり登場するし、犬も大きい。だが空間がダーティーにゆがんでいる。これは、ひょっとしたらあり得るかもしれなかった「アルプスの少女ハイジ」のアナザーサイド、もしくはパラレルワールドなのか。

 この“ゆがみ”を引き起こす中心人物は、マイリという男。彼はスイスの大統領であると同時に、チーズ製造会社の社長を務めている。そして自社以外のチーズを禁止する法律を通してしまった。おいしいチーズを販売しているわけでもないのに、だ。

 そこで本格派のチーズを求めるひとたちは闇ルートで製造・販売・購入をすることになる。こうしたアンダーグラウンドな動きを、政府が認めるわけがない。そこで闇のチーズ人が暴力や武力の犠牲となる。結果、清らかなアルプスの風景に、血の雨が降る。

 「もし梶原一騎がアルプスの少女ハイジを描いたら、けっこうこんな感じになったのではないか」と思いつつ、狂気に触れた。監督はヨハネス・ハートマンとサンドロ・クロプシュタイン、出演はアリス・ルーシー、マックス・ルドリンガー、キャスパー・ヴァン・ディーンほか。

映画『マッド・ハイジ』

7月14日(金)ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館、池袋シネマ・ロサほか全国順次公開

監督:ヨハネス・ハートマン、サンドロ・クロプシュタイン 製作:ヴァレンティン・グルタート エグゼクティブ・プロデューサー:テロ・カウコマー 脚本:サンドロ・クロプシュタイン、ヨハネス・ハートマン、グレゴリー・ヴィトマー、トレント・ハーガ 撮影:エリック・レーナー 衣装:ニナ・ジョーン プロダクション・デザイン:ミリアム・ケイリン 編集:ジャン・アンドレッグ、クラウディオ・セア、アイザイ・オズワルド
2022年/スイス/カラー/スコープサイズ/5.1ch デジタル/92 分/英語
原題:Mad Heidi
配給:ハーク/S・D・P
(C)SWISSPLOITATION FILMS/MADHEIDI.COM

公式サイト
https://hark3.com/madheidi/