映画『東京バタフライ』待望の公開。映画初主演を飾った「白波多カミン」は「理想と現実の違いを理解できて、生き方が楽になった」と、人生を達観したかのようなコメント

 「進撃の巨人」「甲鉄城のカバネリ」「ヴィンランド・サガ」など大ヒットアニメを手掛けるアニメーションスタジオWIT STUDIOと、数々の国際映画祭での受賞歴を持つTokyo New Cinemaが再びタッグを組み、主演にシンガーソングライターとして活動する京都のアンダーグラウンド女王・白波多カミンを迎え、「魔進戦隊キラメイジャー」の水石亜飛夢、小林竜樹、黒住尚生ら新進気鋭のキャストが集結。叶わなかった夢の残り香を胸に、先の人生をどう生きていくか― 不器用な彼らの音色が紡ぐ、ほろ苦くも温かいヒューマンストーリー『東京バタフライ』が9月11日(金)よりアップリンク吉祥寺ほかにて全国順次公開となります。本作は先日、イタリア・フィレンツェ映画賞に入選を果たしました。

 かつてメジャーデビュー寸前まで行った人気大学生バンド4人組。ささいな行き違いで解散してしまった彼らは、6年後、20代後半となってそれぞれの生活を歩んでいた。結婚、仕事、人間関係……。さまざまな人生の悩みに直面した彼らは、ふとしたきっかけで再び集まることになる。叶わなかった夢の残り香を胸に、30代を迎えようとする彼らのリアルを描く音楽ムービー。人生うまくいかないことだってあるけれどそんな中でも腐らず目の前の生活を一生懸命生きる若者の姿を描き、生きていく上で誰もが抱える後悔や挫折とストーリーをリンクさせ同世代へ共感を誘う。
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 9月11日に初日を迎えた『東京バタフライ』は、アップリンク吉祥寺で初日舞台あいさつが行なわれ、白波多カミン、水石亜飛夢、佐近圭太郎監督が登壇した。

 主人公の安曇を演じた白波多は「やっと初日を迎えられてうれしく思います。最後まで楽しんでください」と観客に向けてあいさつ。この日はコロナウイルス感染防止対策のため、登壇者は透明のシートに囲まれた状態で登壇していたが、ギタリスト・仁を演じた水石は「こういう感じの舞台あいさつは新しいですね」と笑顔を見せると、客席に向けて「今日は久しぶりに皆さんの顔を見ることができてしあわせですね。映画を観る前のお客さまの顔は独特ですからね」としみじみした様子で呼びかけた。

 佐近監督は「2年前に撮った作品で、いつ上映できるかと思っていましたが、ようやく公開できてうれしく思います。自分の力だけでなく、多くの方のお世話になりました。(客席の皆さんは)最初のお客さんとして来場していただいて、感謝しかありません」と感謝の思いを述べた。

 白波多は、このたび初共演となった水石の印象を尋ねられて「イケメンだなと思いました」としみじみ。続く水石が、白波多の印象を「とても空気感がある方だなと思いました。歌うと力強いし、お芝居も目の前に安曇がいるという感じだった。僕自身引っ張っていただきました」と真面目にコメントすると、すかさず白波多が「さっきはふざけてすみません。水石さんはとてもステキな青年で。引っ張っていただきました」と返答。その様子に水石が思わず笑顔になるなど、和気あいあいとした様子を見せる二人だった。

 また二人の印象を尋ねられた佐近監督。まずは水石について「亜飛夢くんはオーディションをやりました。書類とかを含めると100人くらい応募してくださったんですけど、その中で亜飛夢くんが抜群によかった。亜飛夢くんが入ってきて、すぐに仁が来たと思いました。彼しかいないなと思ってお声がけさせていただきました」と述懐。水石も「オーディション会場がめちゃめちゃ地元だったんで、やったと思ったんですが、でも気を抜いちゃいけないなと思って頑張りました。なんとか受かったので良かったです」と笑顔を見せた。

 続けて白波多について「安曇はアーティストで音楽やられている方といいと思って。プロデューサーがYouTubeにこんな人がいるよということで50人のリストを作ってくれたんです。49人見ても、安曇役が見つからなくて。どうしようかと思ったんですが、プロデューサーが『50人目を忘れていました』と言って。カミンさんの名前を付け加えたんです。それが『バタフライ』のMVだったんですが、曲もいいし、彼女はアンニュイで、何を考えているのか分からない表情だった。とにかく彼女を撮りたいと思いました。それがなかったら一緒にできていなかったですね」と述懐。それを聞いた白波多も「人生が変わっていましたね。それも運ですね」としみじみ付け加えた。

 「理想と現実」をテーマとした本作にちなみ、自身が感じる「理想と現実」について尋ねられた登壇者たち。まずは白波多が「わたしはずっと、理想の自分が、自分だと思い込んできたんです。そこにいけないことがおかしいと思って、自分を責めていました。それに気付けたのが最近で。現実と理想があるということが分かったら、それとの距離の取り方が分かってきた。できないときはできないし。そう考えたら楽になりました。できないときも、それがいい悪いではなくて、全部味わい尽くして死ねればいいですね」と心境の変化を語る。

 そしてそれを聞いていた水石も「今、聞いていると理想って難しいなと思いましたね。いろんな業界でトップと呼ばれる人でも、今の自分が理想ですと言える人がいるのかなと。でも僕も理想とか目標があって。そこに届いていない時はやっぱりまだ努力不足だと思うし、上には上もいますし、あとはご縁もあると思います。でもなんかこれまでの人生で無駄ってなかったと思うんですよね。理想に近づくために生きているんだと思います」とコメント。さらに「これまで出会った作品もいい作品ばかりなんで。自分で言うのもなんですが、ありがたいです。出会うべくして、出会っているんだろうなと思って、やらせていただいています。もちろん『東京バタフライ』もそうです」と付け加えた。

 この日のイベントでは不思議な存在感を見せる白波多に対して、明るく受け答える水石の姿が印象的だった。30分のイベントは終始和やかな雰囲気の中で幕を下ろした。

映画「東京バタフライ」

出演:白波多カミン 水石亜飛夢 小林竜樹 黒住尚生 / 松浦祐也 尚玄 松本妃代 小野木里奈 浦彩恵子 熊野善啓 福島拓哉

監督・編集:佐近圭太郎 脚本:河口友美 音楽:白波多カミン 撮影:星潤哉 チーフプロデューサー:和田丈嗣 プロデューサー:新井悠真
主題歌:白波多カミン with Placebo Foxes「バタフライ」(日本コロムビア)
制作:WIT STUDIO Tokyo New Cinema 配給:SDP
(C)2020 WIT STUDIO/Tokyo New Cinema

『東京バタフライ』公式サイト https://tokyo-butterfly.com/