夢と現実が入り混じった先にあるものとは……。高野徹監督の初長編作品『マリの話』

 『ハッピーアワー』、『偶然と想像』など濱口竜介監督作品で助監督を務め、短編映画『二十代の夏』はフランス・ベルフォール国際映画祭のグランプリ&観客賞を受賞。注目を集める高野徹の初長編監督作品が12月8日からシモキタ – エキマエ – シネマ「K2」にて上映される。

 内容は全4章にわかれていて、読み切りの小説をいくつか続けて読んだような気分になる。だが各小説にはしっかりとしたつながりがあって、だからこそエンディングがああいう形で生きてくる、という感じだ。

 ピエール瀧が演じる映画監督・杉田はこのところずっとスランプ気味で、火をつけようにもどうにも点火しない感じの毎日である。そんなおり、夢で出会った女性と瓜二つの女性・マリ(成田結美)と偶然に出会い、実にラッキーなことに親しくなり、映画作りが始まる。杉田にとってマリは創造のミューズであったはずなのだが、ここからいろんな要素が積み重なってきて、物語の主軸は穏やかに、杉田からマリへと移ってゆく。

 猫を探す老人・フミコを演じる松田弘子の存在感も尋常ではない。ところで成田結美といえば、『カメラを止めるな!』のフランス・リメイク版『キャメラを止めるな!』で通訳を演じた俳優でもある。この“フランス”という要素が、しっかり生きているのも本作のキモであろう。

●映画『マリの話』

2023年12月8日(金)よりシモキタ – エキマエ – シネマ「K2」にて公開! 以降全国順次

<スタッフ>
監督・脚本・プロデューサー・編集:高野徹 共同脚本:丸山昇平 撮影:オロール・トゥーロン 録音・整音:松野泉 照明:北川喜雄 助監督:大美賀均、原田真志、三浦博之 ダンス監修:鈴木竜(DaBY) スタイリスト:雪尚人 衣裳提供:DAMMIT TOKYO 通訳:井上麻由美 音楽:橋本三四郎 製作・配給:ドゥヴィネット 配給協力・宣伝:ブライトホース・フィルム 文化庁「ARTS for the future! 2」 補助対象事業
2023 年製作/60 分/ヨーロピアンビスタ/DCP
(C)2023 ドゥヴィネット

公式サイト
https://mari.brighthorse-film.com/