視覚と聴覚の双方を揺さぶる、実話を基にした戦争アクション『アンブッシュ』

 「実話をもとにした作品」であると知り、いきなりビビる。そして、「現在進行形の、最新テクノロジーを駆使した戦争とはこういうものなのか。ドローンはこのように活用されるのか。装甲車は本当に分厚い、鎧のような仕様なのだな。“海ゆかば”の時代とはえらい違いだ。だが人の命が粗末にされることには、結局同じなのだな」と思う。

 『アンブッシュ』というタイトルは、“待ちぶせ”という意味。2018年、イエメン南部に駐在中のUAE軍の3人の男をとりまく物語。彼らは戦闘地帯の住民へ支援物資を運ぶ役割を担っていたが、その装甲車が襲われる。ここから、展開がどんどんディープになっていく。「ゲリラ戦に持ち込み、執拗に攻め込んでくる敵」、「一縷の望みをかけて最善をつくそうとする3人」、「3人の異変に気付き、彼らを救おうと粉骨砕身するUAE軍の動き」。この三要素に随時スポットがあたりながら、すさまじい迫力の音響、兵士の心の揺れが伝わってくるようなカメラ・ワークで、こちらをハラハラさせていく。

 監督は、『96時間』『ザ・ガンマン』『パリより愛をこめて』などで知られる名匠ピエール・モレル。日本公開に向けてのキャッチコピー「360度、敵だらけ。」そのものの世界を疑似体験できる。

映画『アンブッシュ』

12月29日(金) 新宿バルト9ほか全国ロードショー

監督:ピエール・モレル
脚本:カーティス・バーテル、ブランドン・バーテル
出演:マルワーン・アブドゥッラ・サーリフ、ハリーファ・アル・ジャースィム、ムハンマド・アフマド、アブドゥッラ・サイード・ビン・ハイダル
2021年/アラブ首長国連邦、フランス/アラビア語/111分/カラー/シネマスコープ/5.1ch/原題:Al Kameen/英題:THE AMBUSH/字幕翻訳:髙橋彩/字幕監修:大久保義信/レイティング:G
配給:クロックワークス
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公式サイト
https://klockworx-v.com/ambush/