パンデミックの嵐の中、救急医療の現場で何が起きているのか。芸術祭賞作品が映画化。『その鼓動に耳をあてよ』

 『人生フルーツ』『さよならテレビ』などの力作を発表してきた東海テレビのドキュメンタリー作品、その第15弾。今回は「名古屋掖済会(えきさいかい)病院」がクローズアップされる。1948年に開院、78年に東海地方で初めてのER(救命救急センター)を開設した大型病院だ。このERのポリシーは「断らない救急」。一切休みなく、あらゆる初期診療を行っている。

 芸術祭賞テレビ・ドキュメンタリー部門優秀賞に輝いた「はだかのER 救命救急の砦 2021-22」の増補改訂映画版といっても的外れではないだろう。この映画でとりあげているのは、2021年から22年にかけての同院のようす。新型コロナウィルスが猛威を振るっていた時でもあるが、むろん、この病院にやってくる人々はその患者だけではない。どんぐりが鼻に入ってしまい抜けなくなった子供、耳の中に虫が入り込んでしまった者など――治療費をただちに払えない者、治療を受けたとたん逃げ出す者もいる。救急車はひっきりなしにやってくる。医療の現場なので、相当に生々しいシーンもある。

 映画には、一切のナレーションが登場しない。ナレーターの言葉で観る物の心を動かそうとするのではなく、あくまでも現場(病院)の情景、医者たちの動きや発言がこちらのエモーションに訴えてくる。監督:足立拓朗、プロデューサー:圡方宏史、阿武野勝彦。

映画『その鼓動に耳をあてよ』

1月27日より東京・ポレポレ東中野 ほか全国順次公開

音楽:和田貴史 音楽プロデューサー:岡田こずえ 撮影:村田敦崇 音声:栗栖睦巳 TK:清水雅子 音響効果:宿野祐 編集:髙見順 プロデューサー:阿武野勝彦 圡方宏史 監督:足立拓朗 製作・配給:東海テレビ放送 配給協力:東風
2023年|日本|95分|
(C)東海テレビ放送

公式サイト
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