石川県の温泉街をタップダンスで盛り上げる! ユーモアと感動に満ちた一作『レディ加賀』

 笑わせるところあり、泣かせるところあり、心を熱くさせるところありの秀逸な作品だ。10年ほど前に、加賀温泉の旅館の女将たちによって結成されたプロモーションチーム「レディー・カガ」から着想を得て企画された一本であるというから、ほぼ実話がベースなのだろう。老舗旅館の一人娘である主人公の樋口由香(東京でほんの少々、役者をして、地元に戻ってきた)には小芝風花が扮しているが、私などは、「彼女は昔からタップダンスをやっていて、その結果、この役柄に選ばれたに違いない」とひとりで思いながら映画を観終えた。だが後で調べてみたら、小芝はこの映画のためにタップを覚え、クランクインまでの間に9カ月も練習したというではないか。後半に出てくるソロのタップ・シーンも含めて、その足さばきはひじょうに大きな見どころである。

 しかも、この由香は、とても明るく、自由奔放なキャラクターであるから、自然と、彼女が登場するシーンには活気が出て、物語がぐんぐん加速していくような印象も覚える。由香と共にタップダンス・チームを組む面々には松田るか、中村静香、八木アリサ、奈月セナ、小野木里奈、水島麻理奈などがおり、檀れい、篠井英介、佐藤藍子なども重要なキャラクターを演じている。

 「温泉」「旅館」「女将」などの、日本のトラディションを、いかに生き生きしたものとして現代に提示するか。それは業種を超えて多くの人々の参考になることだろうし、私はなによりも加賀温泉郷に行きたい気持ちがますます高まって今に至っている。2月2日から石川県先行公開、9日から全国ロードショー。令和6年能登半島地震への復興支援のため、映画の配給収入の5パーセントが義援金として石川県へ寄付される。監督・雑賀俊朗。

映画『レディ加賀』

2024年2月2日(金)石川県先行公開
2024年2月9日(金)新宿ピカデリー 他全国ロードショー

上映時間:108分|R指定なし
配給:アークエンタテインメント
(C)映画「レディ加賀」製作委員会

公式サイト
https://ladykaga-movie.com/