親友ふたりが過ごした16年間。心の奥に熱いものがこみあげる友情物語『ソウルメイト』

 観終わった頃には、誰もが自分の親友を思い起こすに違いない。その親友と今も交流していても、しばらく疎遠になっていても、もう二度と会えなくても、だ。

 2016年の中国・香港合作映画『ソウルメイト/七月と安生』を、韓国・済州島を舞台とする物語に再生。ミソ(キム・ダミ)とハウン(チョン・ソニ)の関係を主に、それぞれが過ごした子供時代から数十年間の歳月が綴られてゆく。性格的には対照的なところもあるのだが、逆にそれが良かったのか、ふたりはとにかく気が合う。家を行き来し、一緒にご飯を食べて、入浴もする。が、やがて「思春期」に入り、ハンサムな男子ジヌ(ピョン・ウソク)が、ふたりと関わりを持つようになる。となると「三角関係か」「男で友情崩壊か」という早とちりな予想も生まれるかもしれないが、これは現代の映画であるので、そんな簡単にはいかない。トロンとする甘さと、ツンとする苦みが共存しながら、ミソ、ハウン、ジヌの感情が渦を巻く。

 学校生活を終えれば次なる道ゆきとして就職があり、さらに彼女たちには「島に残るか、都会に出るか」という選択肢もある。新境地に取り組んでみたい、という欲求もある。が、それも命あってのことだ。伝説のロック・シンガー、ジャニス・ジョプリンの名前や楽曲が効果的に登場するところにも目を見張らされたし、“母さん”という名の猫もとてもいい味を出している。ちなみにキム・ダミは、「梨泰院クラス」で百想芸術大賞、『The Witch/魔女』で大鐘賞を受賞した俳優。(おそらく生きてゆくために)さまざまなキャラクターを身に着けるようになったミソを見事に演じている。

映画 『ソウルメイト』

2月23日(金・祝) 新宿ピカデリーほか全国公開

監督:ミン・ヨングン
出演:キム・ダミ、チョン・ソニ、ピョン・ウソク
2023|韓国|124分|ビスタ|5.1ch|英題:SOULMATE|字幕翻訳:本田恵子|映倫:PG12
配給:クロックワークス
(C) 2023 CLIMAX STUDIO, INC. & STUDIO&NEW. ALL RIGHTS

公式サイト
https://klockworx-asia.com/soulmatejp/