戦争を縦軸に、友情を横軸に描くエモーショナルな一作。ガイ・リッチー監督の新作が日本公開。『コヴェナント/約束の救出』

 大物監督ガイ・リッチーの最新作。「アフガニスタン問題とアフガン人通訳についてのドキュメンタリー」を見たことをきっかけに、実話をアレンジしたフィクションとして物語を完成させたのだという。

 舞台は、2018年のアフガニスタン。タリバンの武器や爆弾の隠し場所を探す部隊を率いて現地に乗り込んだアメリカ軍のキンリー曹長と、その通訳として雇われたアフガン人アーメッドが主人公だ。アーメッドは他人の指図を受けない、上意下達が尊ばれる世界ではある意味とても面倒な性格の持ち主であろうが、キンリーとは気が合った。そして、とある出来事により、彼らの周りの者はみな死に、重症のキンリーと被害を免れたアーメッドだけが生き残る。アーメッドは優しく(それは家族への対応でもわかる)、力持ちで、機転が利き、運動神経がいい。彼の尽力によってキンリーは命拾いし、アメリカに戻ることができたのだが、アーメッドにお礼らしき行動をできないまま帰国したので、それが心残りだった。

 ゆえに、キンリーは、わざわざまた荒れ狂うアフガンに向かうのである。友情は発砲や銃撃をものともしないのだ……と書くといかにもきれいごとだが、爆撃の凄まじい音響、爆風の圧の中を、自分の心の信じるままに進むキンリーの姿は、たしかにある種の感銘を与える。もっとも、戦争はしないに越したことはないのではという気持ちが、私から失われることはなかったが。しかもこの米軍の対アフガン軍事作戦は二十年以上も続いたのである。

映画『コヴェナント/約束の救出』

2月23日(金・祝)TOHOシネマズ 日比谷ほかにて全国ロードショー

監督・脚本・製作:ガイ・リッチー
出演:ジェイク・ギレンホール、ダール・サリム、アントニー・スター、アレクサンダー・ルドウィグ、ボビー・スコフィールド、エミリー・ビーチャム、ジョニー・リー・ミラー
2022年/アメリカ/英語/123分/カラー/スコープ/原題:GUY RITCHIE’S THE COVENANT/字幕翻訳:松崎広幸/G
提供:木下グループ 配給:キノフィルムズ
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公式サイト
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