エリザベス・モス(『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』)怪演! 現実と虚構が交錯する、幻惑の心理サスペンス『Shirley シャーリイ』

 音楽が渋い。フェイ・トーマス「アイム・イン・タウン」、グラディス・ベントリー「ブギ・ン・マイ・ウギ」、ジョー・スウィフト「チキン・レッグ・チック」、キャンディ・ジョンソン「スタンピン」など。1940~50年代の通好みのリズム・アンド・ブルースがところどころに出てくる。相当なマニアがスタッフにいるのだろう。

 物語の舞台は1940年代後半。「ニューヨーカー」誌上に短編を発表して話題を集め、その後は長編に取り組もうとしてはいるものの、どうにもスランプを抜け出せない作家シャーリイが主役だ。そこで大学教授(12弦ギターの弾き語りミュージシャンであるレッド・ベリーのファンであるらしい)の夫・スタンリーは一計を案じ、助手の夫妻を家に呼び寄せる。つまり、二組の夫妻が同じ家で過ごすわけであるが、もとをただせばふたりずつの男と女であり、愛し合うのは異性どうしでなければいけないという決まりなどもないのだ。さあ、この「愛」と「混濁」が、いかにシャーリイにインスピレーションを与えるのか、それとも与えないのか。時間をゆっくりかけながら、物語は描かれる。

 シャーリイのモデルであるシャーリイ・ジャクスンは、スティーヴン・キングにも影響を与えた実在のアメリカン・ゴシック作家。監督と共同脚本はジョゼフィン・デッカーが務め、デッカーを高く評価するマーティン・スコセッシが製作総指揮に名乗りを上げた。シャーリイ役はエリザベス・モス。2020年アメリカ上映作品の日本公開を喜びたい。

映画『Shirley シャーリイ』

7月5日(金)TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー

<キャスト>
エリザベス・モス/マイケル・スタールバーグ/ローガン・ラーマン/オデッサ・ヤング

<スタッフ>
監督:ジョセフィン・デッカー
脚本:サラ・ガビンズ 原作:スーザン・スカーフ・メレル(『Shirley』未邦訳) 撮影:シュトゥルラ・ブラント・グロヴレン 美術:スー・チャン 編集:デヴィッド・バーカー 衣装:アメラ・バクシッチ 音楽:タマール=カリ 音楽監:ブルース・ギルバート、ローレン・マリー・ミカス キャスティング:ケリー・バーデン、ポール・シュニー
2019年|アメリカ|英語|107分|アメリカン・ビスタ|原題:Shirley|字幕翻訳:橋本裕充 配給・宣伝:サンリスフィルム
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公式サイト
https://senlisfilms.jp/shirley/