
原題は『Cinderella’s Curse』。Curseとは、呪いという意味だ。あの、とても現実離れはしているけれど、ゆえにファンタジックにもロマンティックにも感じられるところもある古典『シンデレラ』に再検討を加え、残酷な部分をクローズアップして、温厚な言葉を使うとすれば現実的、よりリアルな言葉を使えば、血も涙もない展開にした一作が『シン・デレラ』だ。
やっぱり人間は富が好きだし妬み嫉みやルッキズムはデフォルトだよな、と問いかけられたような気分になる。あともうひとつ、どんなロマンティックに見える物体も、使いようによっては、相手に当てる角度や強さによっては凶器となることも、この映画は教えてくれる。

もちろんシンデレラなのだから、「舞踏会で王子様と踊りたい」という願いを魔法の力によって叶えることができたし、王子と対面することができた。が、王子の性格がクソだったら? 王子の一家が輪をかけてクソだったら? いろんな屈辱的なことが積み重なり、シンデレラは「ブチ切れの人」となった。血が噴き出て、内臓が飛び、シンデレラの目力はさらに強大になっていく。私が目を見張ったのは、「スケバン刑事」のヨーヨーをさらにエクストリームにしたような「ガラスの靴」の用い方。スケバン刑事はまがりなりにもマッポの手先だが、この映画のシンデレラは恨みはらさでおくべきかと靴を駆使するのである。私は物語に対して「力を持たない側」寄りで接してしまうマインドの持ち主なので、このシンデレラの行動は痛快に感じられたし、拍手を送りたくなった。
監督・制作(共同)はルイーザ・ウォーレン、主演はケリー・ライアン・サンソン。
映画『シン・デレラ』
10月25日(金)新宿ピカデリーほか全国ロードショー
監督・製作:ルイーザ・ウォーレン
製作総指揮:スチュアート・オルソン
脚本:ハリー・ボックスリー
編集:ジャック・ジェームズ
音楽:ジェームズ・コックス
出演:ケリー・ライアン・サンソン、クリッシー・ウンナ、ダニエル・スコット、ローレン・バッド
2024年/イギリス・アメリカ/82分/英語/カラー/デジタル5.1ch/スコープサイズ/原題:Cinderella’s Curse 字幕監修:人間食べ食べカエル
配給:ハーク、S・D・P/R15
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