人気シリーズの第3弾。前作『テリファー 終わらない惨劇』は、全世界で1570万ドルの収益をたたき出したという。「嘔吐、失神者が続出したことで話題となった」ともあるが、この最新作『テリファー 聖夜の悪夢』を観ても、それは納得できる。なんというか、アート・ザ・クラウンというキャラクター自体が嘔吐級の恐怖そのもの。「絶対、このキャラと一緒にいたくない。一緒にいたら間違いなく殺されるだろうから、それなら自分は彼に殺されないで死ぬ道を選ぶ」という気持ちにさせられる。
過去、アート・ザ・クラウンはハロウィンに人々を恐怖のどん底に陥れていた。そこを文字通り命からがらの状態で生き延びたのがシエナとジョナサンである。彼らの心から恐怖が消えることはないとしても、それでも明日に向かって、未来が少しでも明るいものになるようにと奮闘している。が、「あいつ」は、あろうことか、彼らのもとにまたしても姿を現した。よりによってクリスマス・シーズンに、サンタのコスプレをして……。
アート・ザ・クラウンがこの映画の中で行っていることは「非道」の一言に尽きるが、なぜ彼がこのような、いわば全身テロリストになったのかについては作品中で特に詳述されているわけでもない。そうしたのは制作陣の才覚だろう。物語的な説明が加わるとどうしてもマイルドになってしまう。おかげでこのキャラの「予測不可能な(と言いつつ、彼と同じ場所にいる者が命をやられる方向に行くことだけは予測できるのだが)不気味さ」が際立つ。もちろん、理由があれば悪事をしてもいいというわけではないにしろ、「突拍子もない悪意」はひたすら観る者に恐怖を植え付ける。バーやデパートのシーンなど、いま思い出しても悪寒がする。
監督はダミアン・レオーネ、主演はローレン・ラベラ。そしてアート・ザ・クラウンには、おなじみのデヴィッド・ハワード・ソーントンが扮している。笑みを浮かべた時の歯並びが上も下も実にきれいで、それもまたこの場合は「恐怖のスパイス」となる。
映画『テリファー 聖夜の悪夢』
11月29日(金)より TOHOシネマズ 新宿 ほか全国公開
監督・脚本:ダミアン・レオーネ
出演:ローレン・ラベラ、デヴィッド・ハワード・ソーントン、サマンサ・スカフィディ、エリオット・フラム、ダニエル・ローバック、クリス・ジェリコほか
2024年/アメリカ/英語/124分/カラー/日本版イメージソング:「The Devil In Me」DIR EN GREY/宣伝:ガイエ/配給:プルーク、エクストリームフィルム
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