一大エンタテインメント作品だ。そして「良い人」と「悪い人」の違いなど本当に紙一重で、場を流れる空気や立場によって、そんなものはあっという間に切り替わるものなのだということも伝えてくれる。動き、セリフともにヴィヴィッドで、なんというか、鮮やかな色のついた「動く劇画」を見ているような気分も覚えた。前半で観る者の好奇心に訴えて、ストーリーが進むにつれて次々と伏線が回収されていく感じか。観終えたあとはスカッとした気持ちで映画館を出ることができるはずだ。監督は「カメラを止めるな!」で名をあげた上田慎一郎監督だが、本作の企画はその公開前から温めていたものであるという。渾身の一作であるのだろう。
税務署に務める堅物を絵にかいたような公務員(大金をだまし取られた)と、相当にチャラい詐欺師を軸に、やがて「七人の侍」のごとく仲間が集まっていき、詐欺師集団《アングリースクワッド》を結成し、リベンジに――という物語ではあるが、そこにパワハラの問題、家庭内での親子関係や夫婦関係などのトピックもしっかり盛り込まれてゆく。おかしくてつい吹き出したくなるシーンも多数、大団円という感じのエンディングも心憎い。
公務員を内野聖陽、詐欺師を岡田将生が好演。小澤征悦のピカレスクぶりにも注目したい。
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