アザラシブームが来ているとはいえ、圧倒的な猫人気にかげりがさすことはない。
2023年の「ファウナ・テポストラン・アニマル・フェスティバル」で最優秀猫映画賞を受賞した一作が『ねこしま』という邦題で1月10日よりヒューマントラストシネマ有楽町、シネ・リーブル池袋、新宿武蔵野館ほか全国公開される。原題は『Cats of Malta』。音楽ファンにはハーブ・アルパート＆ティファナ・ブラスの「マルタ島の砂」でおなじみであろうマルタ島を舞台に、そこで暮らす猫、猫好きの人々、猫をモチーフに創作する芸術家、保護活動への取り組み、ほか、立ち退きの圧力をかけられている“猫の村”など、さまざまな事象が紹介される。
「猫の魅力にあらがえない」、「猫は寿命を延ばしてくれる」などの絶賛があるとともに、旺盛な繁殖力（去勢が進め・勧められている）や、いわゆる近親相姦、病気の問題などにも触れながら、映画としての奥行を深めていくのはサラ・ジェイン・ポルテッリ監督の手腕だろう。画面にはたくさんの猫がフィーチャーされているけれど、どれひとつ同じ表情のものはいない。猫の持つ奥深さに改めて感じ入るとともに、「人間と猫の共存」について思いをはせ、「世の中の人々は決してみんなが猫のことをよく思っているわけではない（猫嫌いもいる）」という、猫好きが忘れがちな事柄を改めて気づかせてもくれた。
映画『ねこしま』
1月10日（金）よりヒューマントラストシネマ有楽町、シネ・リーブル池袋、新宿武蔵野館他全国ロードショー
出演：ミシェル･デグアラ、サルヴュ･ジルソン、ポリー・マーチ
監督：サラ・ジェイン・ポルテッリ 撮影：イヴァン・マレキン
配給：ファインフィルムズ 原題：Cats of Malta 後援：マルタ観光局
2023／マルタ共和国／英語／カラー／71分
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