「このチャンスを逃せば、こんなものは二度と観られないかも」と評された、あまりにも独特なミュージカル、『ディックス!! ザ・ミュージカル』

 あの『グレイテスト・ショーマン』や『ラ・ラ・ランド』のスタッフが関わっているミュージカル映画、とはいっても、誰かと一緒に観に行く場合は要注意かもしれない。下ネタ満載の作品だからだ。そもそも「ディックス!!」の「ディック」とは、往年の日本の名歌手ディック・ミネの芸名の由来になったという「ディック」、すなわち男のシンボルであろうし。

 とはいえストーリーの根底にあるのは、主人公の男性ふたりが共に持っている「離婚した両親に復縁してもらいたい」という、澄み切った思い。だが、このふたり、今の今まで職場で互いをライバル視して争っていた。自分たちが生き別れの双子であることに気づくまでは。ふたりとも大いにモテて、ドラッグで吹っ飛んだりもして、それなりに人生を謳歌していた。なのに「何か」が欠けている。その「何か」とはつまり、両親と共に過ごす日々だったのだ。だが、別れてしまったふたりにヨリを戻させるのは並大抵の苦労ではなく、しかも父も母も相当に個性的な人生を送っていた。

 と書いても全体の3%の説明にもならないはずだが、とにかく、あっと驚くようなファミリー・ストーリーが、キャストたちの入魂の歌唱やダンスと共に綴られていく。「映画祭でチケット争奪戦が勃発」したのもむべなるかなの、コメディ・ミュージカルだ。そして観終わる頃には「愛の形は十人十色であるなあ」と、深く納得させられた。主演・原案・共同脚本などはジョシュ・シャープとアーロン・ジャクソンが担当。父役にはネイサン・レーン、母役にはメーガン・ムラーリーが扮し、出演者にはラッパーのミーガン・ジー・スタリオンの名も。

映画『ディックス!! ザ・ミュージカル』

1月17日(金) 新宿ピカデリー、渋谷ホワイト シネクイントほか全国ロードショー

監督:ラリー・チャールズ 製作:ピーター・チャーニン 音楽:マリウス・デ・フリース
出演:ジョシュ・シャープ、アーロン・ジャクソン、ネイサン・レーン、ボーウェン・ヤン、ミーガン・ジー・スタリオン
2023年/アメリカ/英語/86分/ビスタ/カラー/5.1ch/原題:DICKS THE MUSICAL/R15+ /日本語字幕:石田泰子/提供:トランスフォーマー+シネマライズ
配給:トランスフォーマー
(C)2023 SEWER BOYS RIGHTS LLC. All Rights Reserved.

公式サイト
https://transformer.co.jp/m/dicksthemusical/