今はなき「九龍城砦」の画像を検索してから、この映画を観ることをお勧めする。追加建築を重ねまくってあまりにも独自な姿になっている感じも含め(レゴブロックなら、とっくに倒壊していたに違いない)、まさにその「九龍城砦」そっくりそのままだから(約10億円が投じられたとか)、私など、それがスクリーンの中で動き出しているように感じてしまう。そして卓抜な、臨場感あふれるカメラ・ワークは、我々を「鑑賞者」から、「内部の者(=住人)」の位置へといざなうかのようだ。第97回アカデミー賞国際長編映画賞では香港代表となり、第77回カンヌ国際映画祭での初上映は熱狂的な反応を得たという。香港映画として歴代No.1の動員を達成したともきくが、リピーターもかなりいるだろうし、口コミで観に来たファンも多そうだ。

「九龍城砦」は、スラム街、無法地帯と呼んだほうがふさわしいエリアだったという。私が初めて香港を訪れたときはすでになかったが、あったときでも普通の香港民は訪れなかったという。そのくらいやばい、隔絶した場所だったのだ。1980年代の「九龍城砦」をモチーフにしたこの映画ではそこに住む者たちの人間模様に加え、「抗争」のすさまじさも描写される。実際はこの何倍もの激しさ、むごさもあったことだろう。アクション・シーンに関しては、もうアクションというよりも「超高速な暴力のやりとり」という感じだが、それもこの映画の見せどころであることはいうまでもない。血が噴き出るシーンの、血の色の濃さや粘っこさも、リアリティに迫った結果に違いない。出演はベテランのルイス・クーやサモ・ハン、リッチー・レン、レイモンド・ラム、武道家としても著名なフィリップ・ンほか、監督はソイ・チェン。
映画『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』
1月17日(金)新宿バルト9ほか全国ロードショー
監督:ソイ・チェン アクション監督:谷垣健治 音楽:川井憲次
出演:ルイス・クー、レイモンド・ラム、テレンス・ラウ、フィリップ・ン、トニー・ウー、ジャーマン・チョン、リッチー・レン、ケニー・ウォン、サモ・ハン、アーロン・クォック
2024年/香港/125分/カラー/シネマスコープ/5.1ch/原題:九龍城寨之圍城/PG12
配給:クロックワークス
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