イーストウッド作品のスタッフ×リーアム・ニーソン! 話題必至の重厚アクション『プロフェッショナル』

 確かに俺はいろんな暗殺をしてきたが、別に好きでそうしてきたわけじゃない。俺だってひとりの男だ、人間だ。もうそろそろ落ち着いて、普通の生活がしたい。できるだけ静かに、穏やかに。

 と、本人が強くそう思ったとしても、周りが彼をそうはさせない。しかも今回は、依頼されたのではなく、彼の中に煮えたぎる怒りが原動力だ。テロは許せない、俺は体を張ってアイルランド共和軍(IRA)とやりあう。

 どおりでこの映画は並外れてエモーショナルである。監督を務めるのはクリント・イーストウッドとの親交も深いロバート・ロレンツ。撮影のトム・スターンも、イーストウッド・ファミリーと言っていい。イーストウッド流の大きなスケールと、主演リーアム・ニーソン(北アイルランド出身)ならではの威容がドッキングした、ひとの良心に切々と訴えるようなしみじみした要素と、カラッとしたエンタテインメント性が高レベルで共存した一作であると私は感じた。

 ニーソンの実年齢は今年で73歳。物語の舞台は1970年代前半の北アイルランドだから、「1800年代終わりから1900年代初めごろに生まれた暗殺者」を演じていることになる。つまり主人公は2つの世界大戦を経験している。その男が、「もう殺しはこりごり。だがやるからには徹底的に」とばかりに、人生最後の炸裂を展開する。若くはないから無駄はしない。タメを利かせて、いざというときだけ、ビシッと決める。その切り替えの鮮やかさもまた、眼を見晴らされる。なお、アイルランド共和軍(IRA)は1972年にベルファストで同時爆弾テロ事件を起こしている。

 マリーナ・ショウ「カリフォルニア・ソウル」など1960~70年代のポップ・ソングの採用も効果的だ。

映画『プロフェッショナル』

4月11日(金)より、TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開
監督:ロバート・ロレンツ フィリップ・リー 製作:フィリップ・リー 撮影:トム・スターン
出演:リーアム・ニーソン、ケリー・コンドン、ジャック・グリーソン、キアラン・ハインズ、デズモンド・イーストウッド、コルム・ミーニイ
2025|アイルランド|106分|シネマスコープ|5.1ch|英題:In The Land of Saints and Sinners|字幕翻訳:西澤志保|配給:AMGエンタテインメント|映倫:G
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