大ヒットシリーズの第3作。おばさんの行方を追うとともに、自らのルーツにも迫る。『パディントン 消えた黄金郷の秘密』

 プーさんほど漫画っぽさ、かわいさ方面に寄せることはなく、かといって集落を襲って死者7人・負傷者3人を出した三毛別羆事件ほどの恐ろしさもない。中庸なのが本作の熊キャラ、パディントンの特色だ。英語がペラペラで思考は冷静、それによく気が利く。服もしっかり着て、人間との関係も実に良好、まさに紳士熊といったところだ。

 ロンドンで人間・ブラウンさんの一家と暮らしていたパディントンのもとに、「ルーシーおばさんの元気がない」との手紙が来たことで、今回の物語は加速し始める。おばさんを尋ねてみようではないかと、パディントン+ブラウン一家は英国からペルーに向かう。だが長い英国生活でパディントンはすっかりソフィスティケイトされてしまい、なかなかぺルーの乗りになじめない。それにおばさんはどこへ行ったのやら。さあ、パティントンはおばさんに会えるのだろうか、元気にさせることができるのだろうか、という期待を基に物語は進んでいくが、とにかく皆、動物とか人間とかの種を超えてなごやかなのがいい。では、彼らが円滑なコミュニケーションをとれている理由は何か? それは「英語」にほかならない。

 タイトルの「パディントン 消えた黄金郷の秘密」については、最初ぼんやりと、やがて実に明瞭にわかってくる。「親が退屈することない子供向け映画」という気もするので、親子で観に行って、終わった後に語り合うのも一興であろう。本国イギリスで、シリーズ前2作を大きく上回る興行成績を収めた本作は吹き替え上映もあり。日本でも大いに話題を呼びそうだ。監督ドゥーガル・ウィルソン、製作総指揮・脚本ポール・キング。

映画『パディントン 消えた黄金郷の秘密』

5月9日(金) 全国ロードショー

<スタッフ>
監督:ドゥーガル・ウィルソン
製作:ロージー・アリソン
製作総指揮:ロブ・シルヴァ
製作総指揮/脚本:ポール・キング
製作総指揮:ジェフリー・クリフフォード
製作総指揮:ティム・ウェルスプリング
製作総指揮:木下直哉
脚本:シモン・ファーナビー
脚本:マーク・バートン
撮影監督:エリック・ウィルソン
プロダクション・デザイナー:アンドリュー・ケリー
衣装:シャーロット・ウォルター
編集:ウナ・ニ・ドンガイル
作曲:ダリオ・マリアネッリ
VFX スーパーバイザー:アレクシス・ワスブロット
VFX プロデューサー:ニック・キング
VFXアニメーション監督:パブロ・グリロ
2024|イギリス|英語|カラー|スコープサイズ|107分|5.1ch|原題:Paddington in Peru|日本語字幕:岸田恵子 映倫マークG
提供:木下グループ 配給:キノフィルムズ
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公式サイト
https://paddington-movie.jp/