危険な大金に手を出したことで日常が一変。“動く劇画”というべきクライム・アクション。ダーティ・マネー』

 バディ、クライム、サスペンス、アクション等の要素がこれでもかと詰め込まれた一作。主人公のふたりは義兄弟的な関係を築いているが、その“仕事”ぶりにはクセがある。表の顔は、刑事。だが裏金を取りまとめるという裏の顔もある。つまり「捕まえるほう」と「捕まえられるほう」を兼ねているのだ。それをシチュエーションに応じて切り替える—–といっても人間だからそんなに器用にキャラクターを割り振ることはできない。そこが映画の面白さにつながっている。とにかくこの、清濁併せ呑むふたりの刑事は、実に巧妙に考えられた「危険な大金」に手を出してしまった。ひとりは大病の愛娘の医療費を得るため、もうひとりはギャンブルでこしらえた借金を返すため。「自分の二面性の切り替えの巧さ」を過信していたのかもしれないし、「どうにかなるさ」と楽天的になっていたところもあるのだろうが、とにかく、ここから物語は急加速する。

 ふたりの男が体内に有する「善」と「悪」はもちろん、その中間をゆらゆらするような心情の描写もいい。カメラ・ワークは切れ味よく、主演の二人はアクション・シーンはもちろん、声の抑揚や顔の表情もメリハリに富んでいて、foley(音)も極めて鮮明で迫力があり、なんというか、実にわかりやすい、すさまじくコントラストの利いた“動く劇画”という印象を受けた。

 監督は『名もなき野良犬の輪舞』『キングメーカー 大統領を作った男』などのヒット作に関わってきた脚本家のキム・ミンスが担当。主演はチョン・ウ(『善惡の刃』『野獣の血』)とキム・デミョン(『ゴールデンスランバー』『国際捜査!』)。実に男臭い1作だが、この男くささも今では貴重かもしれない。

映画『ダーティ・マネー』

5月30日(金)よりシネマート新宿ほか全国ロードショー

監督:キム・ミンス
脚本:キム・ミンス、ファン・ウンソン
撮影:パク・ジョンフン
照明:キム・ボヒョン
録音:イ・サンジュン
美術:パン・ギルソン
衣装:キム・ギョンミ
編集:チェ・ジェグン、ヤン・ドンヨプ
音楽:シン・ミンスプ
出演:チョン・ウ、キム・デミョン、パク・ビョンウン、チョ・ヒョンチョル、チョン・ヘギュン、ペク・スジャン、ユ・テオ
2024年/韓国/韓国語/100分/カラー/シネマスコープ/5.1ch/英題:DIRTY MONEY)/字幕翻訳:石井絹香
配給:クロックワークス
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公式サイト
https://klockworx.com/movies/dirtymoney/