時を超えて訴える、声なき者たちの物語。親子が共同で監督したドキュメンタリー。『よみがえる声』

 朴壽南(パク・スナム)と朴麻衣(パク・マイ)の親子が共同で監督した140分超のドキュメンタリー。タイトルは、この作品が約40年前から朴壽南が撮り続けていた16mmフィルムを基に制作されたこと、「大正昭和の日本における朝鮮人の受難史」を風化させるわけにはいかないという強い決意の表れであるとみた。

 広島・長崎で原爆被害を受けた人々、長崎の軍艦島に連行された徴用工、沖縄戦の朝鮮人元軍属、「慰安婦」にされた女性たちの声が、この物語で次々と紹介されていく。そして朴壽南の半生も描き出される。皇国少女として無意識のうちに洗脳されていた彼女が、いかにアイデンティティに目覚めていったか、それもとてもわかりやすく描かれている。そして、そのマインドの中に、1958年8月に起きた、いわゆる「小松川事件」がとても大きなものとしてあることにも触れられている。ある未成年の韓国人男性が確たる証拠もないのに容疑者として捉えられ、未成年であるというのに名前が公表され、新聞は悪意たっぷりに類推記事を書き、異例の速さで死刑執行となった。その、死刑を前にした男性青年と往復書簡をかわし、『罪と死と愛と』という書物にまとめた人物こそ朴壽南だったのだ。

 2023年の釜山国際映画祭でワールドプレミアされ、ドキュメンタリー部門で第一席にあたるビーフメセナを受賞。ベルリン国際映画祭では「豊かで脱植民地的なアーカイブ」としてフォーラム部門にも正式招待されたこの一作は、8月2日よりポレポレ東中野ほか全国公開される。

映画『よみがえる声』

8月2日(土)~ ポレポレ東中野 ほか全国順次公開

監督:朴壽南(パク・スナム) 朴麻衣(パク・マイ)
助監督:佐藤千絃
撮影:大津幸四郎/星野欣一/照屋真治/朴麻衣/金稔万/キム・ミョンユン
編集・プロデューサー:朴麻衣/ムン・ジョンヒョン
フィルム復元協力:安井喜雄
制作:映画社ハルビン/アリランのうた製作委員会/朴壽南
配給:『よみがえる声』上映委員会
2025年/日本・韓国合作/日本・韓国/日本語・英語・韓国語/148分/DCP/カラー/16:9/5.1ch
(C)『よみがえる声』上映委員会

公式サイト
https://tinmoku2025.jp/