1978年のパリ+電子音楽+青春。超巨大音楽イベントSXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)映画祭の正式出品作『ショック・ドゥ・フューチャー』が日本公開

 手探りの時代だからこその覇気と野心と興奮—–1978年のパリ、ひとりの若手女性ミュージシャン、日本製のリズム・マシン(ローランドCR-78)という三要素を見事に結びつけた映画が『ショック・ドゥ・フューチャー』だ。

 監督は音楽ユニット“ヌーヴェル・ヴァーグ”での活動で知られるマーク・コリン、主人公アナを演じるのはアレハンドロ・ホドロフスキー監督の孫にあたるアルマ・ホドロフスキー。作品にスーサイド、スロッピング・グリッスル、ディーヴォなどの音楽が挿入されているのは「なるほど」という感じだが、個人的にはECMレーベルの至宝“アジマス”(ノーマ・ウィンストン、ジョン・テイラー、ケニー・ホイーラー)の採用に感激の声をあげたくなった。

 また、アナの家のレコード・コレクションにはジュリー・ロンドン『ユア・ナンバー・プリーズ』、テリー・ライリー『ア・レインボウ・イン・カーブド・エア』、パティ・スミス『ホーシズ』などがあって、これは握手を求めたくなる。

 劇中のアナは、基本的にはスランプ状態だ。なにしろ40年以上前の話である、若い女性ということでナメられていることを示す描写も少なくない。が、とあることから(ここはぜひ本編で)、先のCR-78 と出会い、開眼。新たな領域に踏み込み、むくつけき男たちをギャフンとさせる。

 日本に限っても78年といえば細野晴臣を中心とするイエロー・マジック・オーケストラがフュージョン・シーンから産声を上げた年、喜多郎がファースト・アルバムを出した年でもあり、見終わった後、同時期のフュージョン、テクノ、エレクトロ等をあれこれ聴き返すのも一興ではないかと思う。

映画『ショック・ドゥ・フューチャー』

8月27日(金)より新宿シネマカリテ、渋谷ホワイトシネクイントほか全国順次公開

監督:マーク・コリン(音楽ユニット“ヌーヴェル・ヴァーグ”)『ブレイク・ビーターズ』(音楽)
脚本:エリーナ・ガク・ゴンバ
製作:ガエル・ルフィエ、ニコラ・ジューディエ
撮影:ステファノ・フォルリーニ
編集:ヤン・マルコール『英雄は嘘がお好き』

アルマ・ホドロフスキー『アデル、ブルーは熱い色』
フィリップ・ルボ『スモーク・アンド・ミラーズ 1000の顔を持つスパイ』
ジェフリー・キャリー『ホーリー・モーターズ』
クララ・ルチアーニ、コリーヌ

2019年/フランス/フランス語/78分/シネスコサイズ/原題:Le choc du futur/PG-12
配給:アット エンタテインメント
(C)2019 Nebo Productions – The Perfect Kiss Films – Sogni Vera Films

https://chocfuturjp.com/