映画『Cosmetic DNA』、「男尊女卑=理不尽」な世界へ別れを告げ、新たな次元へ! 明日に向かって生きる女性3人の、たまらなくカラフルでスリリングな物語

 ドイツ・ハンブルク日本映画祭 ジャンル作品特別賞受賞、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭 北海道知事賞受賞。『Cosmetic DNA』が10月9日から東京・K’s Cinemaほか全国順次公開される。監督・脚本は大久保健也。

 2019年に発表された「ジェンダー・ギャップ指数」で、日本は世界153カ国中121位だった。自分はこれを恥ずかしいことだと思う。この映画は、そんな不自由な国に暮らしながらも、それでも「男尊女卑=理不尽」な世界へ別れを告げ、新たな次元に飛翔したいと願う女性3人の「念」に覆われた作品である。

 コスメ好きの美大生アヤカ(藤井愛稀)は、自称・映画監督から作品出演を打診される。が、結果として受けたのはオーディションですらなく、薬物による暴行被害だった。勇気を振り絞って事実を告げても警察も誰も、被害者の心をさらに荒れさせる反応ばかりで、精神的に参ってしまった。そこにあらわれたのが大学院でDNA研究を行なっているサトミ(仲野瑠花)、重い過去を持つアパレル店員のユミ(川崎瑠奈)だった。

 意気投合した3人は、信じられないような出来事の数々を驚くほどの短期間で経験、やけにきらびやかでギラギラした青春を謳歌する。

 この藤井愛稀、仲野瑠花、川崎瑠奈のコンビネーションが素晴らしい。この収録で初めて顔合わせしたとは思えないほどの、役柄とは思えない「友達感」なのだ。不勉強にしてぼくはこの映画で初めて3人を知ったのだが、声も表情もキャラも全部違うので一発で覚えてしまうし、逆に「よくこんなに個性的で生きのいい3人を集められたものだ」とキャスティングの妙を称えたくなる。

 男はどこまでも憎たらしくやかましい存在として描かれるので、ガチガチのマチズモのひとたちには受け入れられにくいかもしれない。が、「声のデカいものが勝ちな世の中はおかしい」「ただその家に生まれただけで濡れ手に粟はおかしい」と考える者なら、性別を問わずストーリーに共感するはずだし、ラスト近くの、まさしくニュー・ワールド・オーダー的な光明に、ぼくはいい年こいてなんだか泣きたくもなってしまった。

映画『Cosmetic DNA』

10月9日よりK’s cinemaほか全国順次公開

<キャスト>
藤井愛稀、西面辰孝、仲野瑠花、川崎瑠奈 ほか

<スタッフ>
監督・脚本・撮影・編集・照明:大久保健也
配給:Cinemago
販売元:オデッサ・エンタテインメント
製作:穏やカーニバル
(C)穏やカーニバル

https://cosmeticdna.net/