新旧のアウトローたちが、オリンピック目前のリゾート地で牙をむく『狼たちの墓標』

 血も涙もない、といったハードボイルドそのままな描写で行ききるかと思いきや、なんともエレガントでスウィートでダンディな展開が締めくくりで待っている。塩辛いものに砂糖をかけたら、うまいぐあいに塩辛さと甘さが共にアップした感じだ。2011年の韓国のヒット映画『狼たちの墓標』が、5月27日より東京・シネマート新宿ほかで公開される。

 物語の舞台は、2018年冬季の平昌オリンピック開催を控えた韓国屈指のビーチリゾート地・カンヌン(江陵)。オリンピックはスポーツ選手にとっては日ごろの成果を世に問う祭典であるが、同時に多くの職種にとって利権うずまく催しでもある。カンヌンにおいてもそれは例外ではなく、目的のためならば手段を選ばぬミンソク(チャン・ヒョク)率いる新興組織が勢いよく入り込んでくる。

 彼は、昔からこの街で清濁併せ飲み、警察から信頼されてもいる昔気質の組織の幹部であるキルソク(ユ・オソン)に仕掛け、「うわっ、そこまでやるか」的な手法でどんどん陣地を広げていく。義理などうぜえとばかりに力で押していく的ミンソク、古い奴だとお思いでしょうがやっぱり心の触れ合いが大切でござりましょうよ的キルソクのバトルを、起伏に富んだカメラ・ワークが描く。監督・脚本ユン・ヨンビン、撮影ユン・ジュファン。

映画『狼たちの墓標』

5月27日(金)シネマート新宿ほか順次公開

出演:ユ・オソン、チャン・ヒョク、パク・ソングン、オ・デファン、イ・ヒョンギュン、シン・スンファン

監督・脚本:ユン・ヨンビン
撮影:ユン・ジュファン
音楽:モク・ヨンジン
2021年|韓国|カラー|シネスコ|5.1ch|119分|韓国語|日本語字幕:金 仁恵
英題:TOMB OF THE RIVER
レイティング:R15+
配給:クロックワークス
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