「ポップ」と「変」を行き来する快作。気鋭監督と気鋭役者が組んだ話題の映画『まなず』が遂に日本公開

 『梨泰院クラス』で日本でも一気に注目を高めたイ・ジュヨンが看護師ユニョン役で大活躍。第23回釜山国際映画祭でCGVアートハウス賞、KBS独立映画賞、市民評論家賞、今年の俳優賞(主演イ・ジュヨン)4部門に輝いた人気作『なまず』が、ついに7月29日から新宿武蔵野館ほか全国順次公開される。監督は気鋭のイ・オクソプ、彼女にとって初の長編映画であるという。

 とある看護師が、患者として訪れていた彼氏のレントゲン写真をとっているうちに、気分が高まり、ふたりきりのレントゲン室で行為に及んでしまう。翌日、そのレントゲン写真が看護師たちの間で大騒ぎに。人間の好奇心は、誰が撮った(盗撮した)のかではなく、誰が行為をしていたのかに向かう。副院長は「ユニョンの行為中の写真である」と決めつけ、彼女に自宅待機を命じる。一方的に断定して、謹慎を強いたのちに、排除してしまおうというわけだろう。

 しかし当然ながらユニョンは納得がいかない。レントゲン室で行為に及んだことはあったかもしれないが、その写真に出ているのが彼女と彼氏の下半身であるという証拠はないからだ。しかもユニョンの気の強さはすさまじく並外れているから、物語の深みは一層増す。「その翌日の、ユニョンと副院長以外の人物の行動」、「なまず」、「シンクホール」等、数々のキーワードがあるが、とにかくユニョンの激しい気質が、周りの人間、はたまた環境にまで影響を与えているように、筆者には思えてならなかった。

 画面が非常にクリアーであること、音楽が洒落ていることも、映画のポップな後味に貢献している。真下から撮っているアングルがいくつか、ここぞという場面で登場するのも強く印象に残った。

映画『なまず』

7月29日(金)新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー

出演:イ・ジュヨン、ムン・ソリ、ク・ギョファン
監督:イ・オクソプ
協力:大阪アジアン映画祭 提供:JAIHO、Hulu 配給:JAIHO
2018年/韓国/89分/シネスコ/5.1ch/字幕翻訳:李 芝賢/字幕制作:ワイズ・インフィニティ
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