ファッション・デザイナー、もしくはブランド名としてその文字を知っていても、では「実際、何をどうしたのか」と問われるとわからない。そんな人物が自分にとってのマリー・クワントであった。

イギリスの男性上位社会、古い因習の中で、彼女の存在や発想がいかに斬新でポップなものであったか。そうしたことがたちどころにわかっただけでも収穫であったし、またそれがちょうど実にいいぐあいに1960年代ブリティッシュ・ロックの勃興とシンクロしているあたりに「時代精神」をも感じた。
ミニスカートが本来は動きやすさ(ドレス等の動きにくさから女性を解放し、より快活にするために)を目的として生まれたこと、さらにその命名がマリー本人によってなされたことも、筆者はここで初めて知った。
また、夫のアレキサンダー・プランケット・グリーンが彼女の人生にいかに貢献したかについても描かれている。マリーは今も健在なはずだが、画面に登場するのは往年の姿と声のみ。ジョージ・ハリスンやエリック・クラプトンと熱愛したパティ・ボイドも、声のみでの登場だ。
インタビュイー(取材される人)として、キンクスのデイヴ・デイヴィスや、パンク・ファッションに欠かせない存在であるヴィヴィアン・ウェストウッドも登場。マンフレッド・マン「プリティ・フラミンゴ」をはじめ、映画の中で流れる楽曲も実にいい。監督は役者としても活動するサンディ・フロスト。

11月26日から東京渋谷Bunkamuraル・シネマほか全国順次ロードショー。同日から2013年1月29日にかけては展覧会「マリー・クワント展」もBunkamuraザ・ミュージアムで行われる。
映画『マリー・クワント スウィンギング・ロンドンの伝説』
11月26日(土)、Bunkamuraル・シネマほか全国順次ロードショー!
監督:サディ・フロスト
出演:マリー・クワント/ケイト・モス/ヴィヴィアン・ウェストウッド/デイヴ・デイヴィス(ザ・キンクス)/ピート・タウンゼント(ザ・フー)/ポール・シムノン(ザ・クラッシュ)
2021年/イギリス/英語/90分/ビスタサイズ/原題:QUANT/映倫区分G
協力:マリークヮント コスメチックス/後援:ブリティッシュ・カウンシル/配給:アット エンタテインメント
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Courtesy Terence Pepper Collection. (C) Vic Singh
Courtesy Terence Pepper Collection