フリークスvs鍵十字。自由と多様性が屈することは、決してない! 映画『フリークスアウト』

 異色作『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』の監督、ガブリエーレ・マイネッティが遂に新作を発表した。ヴェネツィア国際映画祭でコンペティション部門に選出され、ロッテルダム国際映画祭で観客賞、アカデミー賞で6部門を受賞した話題作『フリークスアウト』が5月12日から全国公開される。

 私は『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』上映のとき、即座に、この監督のことを「クセのあるテーマを、エンタテインメント作品に昇華するすごい才能の持ち主である」と決めつけてしまった。この最新作を見ても、どうやらそれは間違いではなかったようで一安心している。今回のテーマは、「特殊な異能力を持つが故に世間に馴染めず肩を寄せ合って生きてきたイタリアの超人サーカス団が、ナチス・ドイツの悪党どもに立ち向かう」というもの。いわば、通常のひとにはない特質を持ってしまったが故の哀しみを持つ人々と、「自分たちが正義だ」と洗脳されてきた横暴なやつらとのバトルである。しかもこのサーカス団はユダヤ人が率いていたから、もう、ナチスは逆上しまくる。発砲し、どなりつけ、暴力をふるう。それに対抗する、光と電気を操る少女や、顔中を毛におおわれた怪力男や、全身磁石の道化師たち。真のダークヒーローというべきベルリン・サーカス団の団長“フランツ”の暗躍がまた、物語に何とも言えない苦いテイストをふりかける。

 「本作は20世紀の最も暗い時代を背景に、冒険と成長、そして多様性を描いた物語です。私たちは1943年ナチス・ドイツ占領下のローマに強い思い入れと敬意を抱きつつ、ファンタジー要素もふんだんに盛り込みながらこの特異な物語を描くことに挑戦しました」との監督のコメントにそそられた方は、特に必見であることはいうまでもない。

映画『フリークスアウト』

5月12日(金)より新宿バルト9ほか全国ロードショー
配給:クロックワークス
(C) 2020 Goon Films S.r.l. – Lucky Red S.r.l. – Gapbusters S.A.

公式サイト
https://klockworx-v.com/freaksout/