発想、セリフ、セリフとセリフの「間」、すべてが面白い。といってもその場で即座に大爆笑という感じではなく、徐々に余韻がこみあげてくるというか。観終わって、外に出てから、ふと思い出し笑いをせずにいられなくなるというか。なんとも愛すべき一作に出会った気持ちだ。
「光太郎」と「かや乃」は恋人どうしで、「光太郎」は結婚も考えている。ふたりで旅にも出た。が、そこに警察が踏み込んできて、かや乃は逮捕される。光太郎には、まったく理解できない。が、その光景は夢でもなんでもなかった。かや乃は拘留され、光太郎に孤独ながのしかかる。が、ある時、かや乃の父・慎一が光太郎を呼び出す。呆れるほどアクの強い男だったが、慎一も光太郎も、それぞれの感性でかや乃を愛している。
かや乃は四国で囚われている。じゃあ、面会に行こうではないか。そう考えるのはごく当たり前のことだろうが、物語の進行は決して当たり前にはいかない。その「道の逸れ方」もいい。徐々に認め合っていく男ふたりの姿に加え、慎一の過去と「鬼才マジシャンとしての栄光」もしっかりクローズアップされていく。かや乃も、慎一も、いま現在は、いわば脱落者だ。が、いつまでも脱落者で居続けるとは限らない。未来は誰にでも変えられる。その描写に優しさを感じた。
かや乃には山﨑果倫、光太郎には森優作、慎一には岩谷健司が扮する。監督は西尾孔志。
映画『輝け星くず』
2024年6月15日(土)より新宿K’s cinemaほか全国順次公開!
<キャスト>
山﨑果倫 森優作 岩谷健司 片岡礼子 春田純一 滝裕二郎 中山求一郎 湯浅崇 松尾百華 三原悠里 芳野桃花 木下菜穂子 池畑暢平 保志まゆき 小泉研心 国海伸彦 佐保歩実 金延宏明 小川夏果 宮崎柚樹 円籐さや 奥村静耶 川瀬乃絵
<スタッフ>
監督:西尾孔志 原作:小谷忠典 脚本:いとう菜のは、西尾孔志 製作総指揮:金延宏明 プロデューサー:前田和紀、金延宏明 撮影監督:牧野裕也 録音:大澤竜、西村由香 助監督:山田元生、小川泰寛/永井和男、有友由紀 編集:西尾孔志、小川泰寛 整音:中村崇志 音楽:クスミヒデオ エンディング曲:森絢音「覆水不返」 宣伝:Cinemago 宣伝協力:とこしえ 製作・配給:ノブ・ピクチャーズ
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