故・志村けんとのコンビネーションもいまだ記憶に新しい、磯山さやかがヒロインを務める一作。主演は、なんと18年ぶりであるという。
彼女が演じる香織は、とにかくポジティヴで行動あるのみ的人物。とある上映会で浩平(吉橋航也)の自主映画を見て大感激、スクリプターになりたいと上京してしまう。そして浩平と奇跡的な出会いを果たし、同棲に至るのだが、それももう8年目。だが浩平がメジャー作品で監督をするときはまだ来ておらず、助監督としてひたすら消耗する日々を送るのみ。自分には素質がないのかと、映画の道から退こうとしている。浩平の才能に惚れ込んだ香織には、それが歯がゆい。それに実家の母からはもうそろそろ結婚したらとプレッシャーをかけられている。監督として独り立ちした浩平と結婚したいし、そもそも監督になることは浩平の夢ではないか。以降、ふたりの奮闘の日々が始まる。シナリオを売り込み、人に会い、時には冷たく扱われながらも、ますます燃えていくのが浩平と香織だ。
大ヒットした『カメラを止めるな!』をほうふつとさせる箇所もあり、柄本明や篠井英介など濃厚な存在感を漂わる面々がクセのある役柄を演じきっているのも楽しい。全体にまろやかだし、一部ギョッとさせる展開も、結果的に「円満」の中に収まっているのは楽しい。監督・髙橋正弥、脚本・加藤正人。
映画『愛のこむらがえり』
6月23日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開
磯山さやか 吉橋航也
篠井英介 菜 葉 菜 京野ことみ しゅはまはるみ 和田雅成
伊藤武雄 小西貴大 前迫莉亜 藤丸 千 川村那月 浅田美代子 菅原大吉 / 品川 徹 吉行和子 / 柄本 明
監督:髙橋正弥
製作:宮引喜八 企画:加藤正人 井出清美 エグゼクティブプロデューサー:小河政宏 松枝佳紀 原作:加藤正人 安倍照雄 脚本:加藤正人 安倍照雄 三嶋龍朗 音楽:宮原慶太 エンディング曲:VOLOMUSIKS 「夢がよぶほうへ」(SELECTIVE RECORDS)