いったい彼は何者だったのか? 「人間ゴダール」の素顔に迫る意欲的な新ドキュメンタリー

 2022年9月13日の死去から、早1年が経った。「ゴダールの前にも後にもゴダールなし」、そんな唯一無二の存在であるジャン=リュック・ゴダール監督の実像に迫ろうとする意欲的なドキュメンタリー作品『ジャン=リュック・ゴダール 反逆の映画作家(シネアスト)』が、9月22日新宿シネマカリテ、シネスイッチ銀座、ユーロスペース、アップリンク吉祥寺ほか全国公開される。

 ヌーヴェル・ヴァーグの旗手としての姿、1968年の五月革命とカンヌ映画祭がらみのエピソード、問題作『中国女』にまつわる逸話など、「そうそう、これこれ、これが見たかった」的なトピックス満載。さらにまだ監督になる前の1950年に、俳優としてカメラの前に立っていた貴重なフッテージも紹介される。インタビュイーにはマーシャ・メリル、マリナ・ヴラディ、ナタリー・ヴァイなどの役者、ロマン・グーピル、ティエリー・ジュスなどの監督も登場、それぞれのゴダール像を語る。そして数々の作品のシーンが挿入されるとともに、ゴダールが遺したインタビューも多数登場。しかしそれらは(彼がヘビースモーカーだからというわけではないが)、ひとをケムに巻く。彼自身が、ゴダールという不可思議な映画人を演じていたのかもしれないが、この映画に出るゴダール以外の誰もが、ゴダールの「しっぽをつかませないからこその面白さ」にすっかり魅了されてしまっているように見えるのは痛快だ。

 脚本・監督・編集シリル・ルティ、第79回ヴェネツィア国際映画祭 ヴェネツィア・クラシック・ドキュメンタリー部門ノミネート作品。

映画『ジャン=リュック・ゴダール 反逆の映画作家(シネアスト)』

9月22日(金)より新宿シネカリテ、シネスイッチ銀座ほか 全国ロードショー

監督:シリル・ルティ
2022年|フランス|フランス語|105分|カラー・モノクロ|1.78:1|5.1ch|原題:Godard seul le cinema|英題:Godard Cinema|字幕:齋藤敦子|後援:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ|提供:シネゴドー、ミモザフィルムズ|配給:ミモザフィルムズ
(C)10.7 productions/ARTE France/INA – 2022 mimosafilms.com/godard

公式サイト
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