名優チョン・ウソンの監督デビュー作は、クライム・サスペンス+アクションの醍醐味が炸裂する。『ザ・ガーディアン/守護者』公開

 『私の頭の中の消しゴム』『無垢なる証人』など数々の作品で知られる人気俳優、チョン・ウソンの話題作。彼は主演を務めるだけではなく、監督もこなしている。かつてミュージック・ビデオをディレクションしたことはあるものの、映画監督に取り組むのは今回が初めてのことであるらしい。2022年のトロント国際映画祭で大きな話題を集めた作品だが、日本では1月26日から全国ロードショーされる。

 チョンが演じるのは、殺人罪で服役した男・スヒョク。10年ぶりにシャバに戻って当時の恋人を訪ねたところ、彼女は妊娠・出産し、そこでスヒョクは自分が父親になったことを知る。過去を悔い改め、家族の長として生きようと前向きになったのはいいものの、なにしろスヒョクは優秀な殺し屋でもあったので、「悪の側」の組織も黙ってはいない。社会復帰を機に、より一層、「悪」に専心してほしいという思いは強まるばかりだ。

 悪と縁を切りたいスヒョク、再び彼を悪の道に引き入れたい組織。が、スヒョクの迷いが、あることをきっかけに吹っ切れる。そこからのスヒョク(チョン)の勢いがすごい。自ら監督しているとのこともあるのか、とにかく「俺の映えを見せるぞ」的勢いで迫る。精悍な表情、切れ味鋭いアクション、ハードボイルド小説に出てきそうなセリフ。自動車を活用した目の回るようなシーン、きわめてダイナミックにミキシングされた爆発音も含めて、何度心の中で「おお!」と声をあげたことか。「更生しようとする者を卑怯な手で邪魔する組織との闘い」というストーリー自体は決して目新しいものではないが、描き方の激しさ、熱さ、そして粘っこさに魅了されずにはいられなかった。共演はキム・ナムギル、パク・ソンウン(チョンの意見を受けて、悪役のキャラクターを練りに練ったらしい)ほか。

映画『ザ・ガーディアン/守護者』

** 1月26日(金) 新宿バルト9ほか全国ロードショー**

監督:チョン・ウソン 脚本:チョン・へシン、チョン・ウソン 撮影:コ・ラクソン 音楽:キム・テソン
出演:チョン・ウソン、キム・ナムギル、パク・ソンウン、キム・ジュンハン、パク・ユナ
2022年|韓国|韓国語|シネスコ|5.1ch|98分|英題:A MAN OF REASON|字幕翻訳:福留友子|レイティング:G
配給:クロックワークス
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公式サイト
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