時をかける青春。切なさとスリルいっぱいの人気ストーリーが装いも新たに映画化『同感~時が交差する初恋~』

 「せつない」という、最近めっきり使われなくなった言葉を用いたくなるような一作。登場人物の誰にも幸せな将来が訪れるよう、願わずにはいられない。

 いろんなファクター(どれも切ない)が交錯するが、物語の大きな背骨となるのは男子大学生のヨンと、女子大学生ムニのやりとり。だがこのふたり、同じ大学に通っているのに、決して顔を合わせることはない。なぜならヨンは1999年に、ムニは2022年に生きているからだ。ふたりには無線の趣味があり、機械をいじっていくうちに「1999年」と「2022年」がねじれて、会話が始まり、互いに「この人、なんか古臭い」「この女性の使っている単語はきいたことがないぞ、なんなんだ」的なことを思いつつも、好印象を持つようになった。といっても、ヨンにはしっかり意中のひとがいるので、ムニはそれを無線越しに応援することになる。さらにヨンには親友もいるのだが、「未来にいる人と会話している」と認識した後、どうやらムニの発言に耳を傾けていると、彼女の両親の名前が、その親友や意中の人と同じなのだ。偶然なのだろうか、まさか、あいつとあの娘が……そのときに強まるのは、未来を変えたいという思いだけである。

 「ヨンは、意中の女性と結婚できるのか」「ムニの両親は誰なのか」「ヨンとムニは、2022年以降のどこかで会えるのだろうか」等、いろんなことを頭にうずまかせるなか、物語はペースよく進んでいく。そのハイペースにいい感じでアクセントを与えているのが、「亀」の存在だ。長寿を象徴する動物、亀がここまで効果的に使われるとは、驚いたし嬉しくなった。ヨン役はヨ・ジング、ムニ役はチョ・イヒョン。ほかキム・へユン、ナ・イヌ、ペ・イニョらも登場。大人気ドラマ「梨泰院クラス」のユ・ジェミョンも登場する。かつてキム・ハヌル、ユ・ジテ主演で話題を集めた『リメンバー・ミー』(日本では吹石一恵、斎藤工の『時の香り~リメンバー・ミー~』として映画化)の、最新リメイク版。気鋭ソ・ウニョンが脚本・監督を務めている。

映画『同感~時が交差する初恋~』

2月9日(金)シネマート新宿ほか全国順次公開

監督・脚本:ソ・ウニョン 製作:BY4M STUDIO 制作:GOGO STUDIO
出演:ヨ・ジング、チョ・イヒョン、キム・ヘユン、ナ・イヌ、ペ・イニョク
2022年/韓国/韓国語/114分/カラー/2:1ビスタサイズ/5.1ch/英題:Ditto/字幕:根本理恵
配給:KADOKAWA、KADOKAWA Kプラス
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公式サイト
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