全世界興行収入が300億円を超えたと伝えられるトレンディなコメディ作品『恋するプリテンダー』でファンを一気に増やしたに違いないシドニー・スウィーニーが、絶大な意気込みのもとに取り組んだ作品が、この『IMMACULATE 聖なる胎動』であるとの印象を受けた。非常に難しくも実にキャッチーな役柄を、ときに抑えた演技や、時に目いっぱいのスクリーム、体いっぱいのうろたえ、驚くほど豊かな顔の動きで表現する。

彼女が演じるのは、アメリカ人の修道女・セシリア。とあることから、イタリアの田園地帯にある長い歴史を持つ修道院へと招待される。慣れないイタリア語にはいささか苦労したものの、そこは「信仰」という共通点がどうにかしてくれる。が、ある日、彼女は自身の体に変化が起きたことを実感する。「妊娠」である。男性経験がないにもかかわらず、だ。となると、これは聖母マリアの再来ではないかと、まわりの面々は彼女を時には「神格化」する。が、同時にセシリアはいくつもの恐怖、この修道院のダークサイドを目の当たりにすることになる。ここにいては気がおかしくなってしまう、早く脱出しなければとセシリアの心は急ぐのだが、急げば急ぐほど彼女は追い詰められていく。
いろんなファクターが徐々に結びついて一挙に爆発したかのようなエンディングの展開も、これ自体は決して斬新なものではないかもしれないが、「そうするしかないよなあ」と妙に納得させられた。監督はマイケル・モーハン、一部では『オーメン:ザ・ファースト』を引き合いに出されて批評されたというから、内容の不気味さは保証付きだ。
映画『IMMACULATE 聖なる胎動』
2025年7月18日(金)より新宿武蔵野館ほか全国公開
主演:シドニー・スウィーニー
監督:マイケル・モーハン
2024年|アメリカ・イタリア|89分|5.1ch|ユニビジウム|英語・伊|G|原題:IMMACULATE|字幕翻訳:髙橋彩|配給:クロックワークス
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