幽霊になって街を騒がす元カノの本当の目的は何? タイの大ヒット・マルチバース・ラブ・ホラーが日本公開。『サッパルー!街を騒がす幽霊が元カノだった件』

 まるでネタバレのようなタイトルではないか、と思ったが、見ていくと「街を騒がす幽霊が元カノだった」という事実は「序章」であることに過ぎないということがわかり、エンディングを迎える頃には街(というか村)の人々の人間模様、リアルとファンタジー、ホラーとコメディを行き来するような展開に「構成がうまいなあ」と唸らされていた。そして、たまらなくマルチバースだ。それが土臭い、歴史を思いっきり感じさせる街中で繰り広げられる世界なのだから愉快ではないか。

 物語の舞台となるのはタイの東北部にある地方・イサーン。霊の存在を非常に身近なものとする土地柄であるという。独自の儀式、方言、文化をベースに制作されたというだけあって、私には驚かされるシーンも多々あり、なんというか、そちらでも学びを得た。幽霊として街を騒がせているのはバイカーオという女性で、シアンという男性の“元カノ”であった。残念ながらふたりの関係はうまくいったわけではなく、ゆえに“元カノ”なのだが、シアンにとって面白くないのは、街を騒がす幽霊・バイカーオがなぜか自分のところに現れてくれないこと。幽霊だとしても会いたいし、できればヨリを戻したい。そう考えているのに、彼女は自分を避けているのか。そこでバイカーオは犬などの協力を得て、「魔術」の力で自分からバイカーオに会いに行く。そしてバイカーオにも「幽霊として出る」理由があった。この先は本当に目くるめく展開になるのだが、着地点がすこぶる美しい。

 7億バーツ(約30億円越え)の興行収入をあげ、第19回大阪アジアン映画祭の特集企画「タイ・シネマ・カレイドスコープ2024」内でも上映されて大反響だったという一作。

映画『サッパルー!街を騒がす幽霊が元カノだった件』

9月26日(金)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開

監督・脚本:ティティ・シーヌアン
出演:チャーチャイ・チンナシリ、ナルポン・ヤイイム、アチャリヤー・シータ、スティダー・ブアティック、ナタウット・セーンヤブット
製作:Thibaan Studio Production プロデューサー:サチャット・ブンゴースム、スパナット・ナムウォン、スラサック・ポンソーン エグゼクティブ・プロデューサー:シリポン・アンガサグンキアット、コムクリット・ピパットパヌクン  撮影監督:クリッティデート・グラジャーンシー 編集:チュティポン・ラックホーム、ティティ・シーヌアン、ピタヤー・ニンラープ プロダクション・デザイン:アヌソーン・ゴーシリワット 衣装:アカリン・アマリットターウォン サウンド・デザイン:アートサナイ・アートサクン、サチャット・ブンゴースム サウンド・デザイン(イサーン民俗音楽):ティティ・シーヌアン、キティチャイ・ピウプイ、プマナン・パンプーウォン、チラユ・スパッティ、チェッター・タクラングリアン、アーロム・ロートプラパン
英題:The Undertaker 字幕翻訳:大沢晴美、ワイズ・インフィニティ 字幕監修:高杉美和 協力:大阪アジアン映画祭 後援:タイ国政府観光庁 配給:インターフィルム
【2023年/タイ/タイ語(イサーン語)/125分/2.39:1/5.1ch/DCP】
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公式サイト
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