『メーサーロシュ・マールタ監督特集 第2章』。“東欧の奇跡”と呼ばれる名監督の作品が再びスクリーンに登場

 1931年、ハンガリー生まれ。75年に『アダプション/ある母と娘の記録』で女性監督として初めてベルリン国際映画祭の最高賞を受賞したメーサーロシュ・マールタの特集上映が再び行われることになった。2023年以来、2年ぶりの快挙である。

 今回、上映されるのは『エルジ』(68年)、『月が沈むとき』(69年)、『リダンス』(73年)、『ジャスト・ライク・アット・ホーム』(78年)、『日記 子供たちへ』(80~83年)、『日記 愛する人たちへ』(87年)、『日記 父と母へ』(90年)。圧巻はスタンダード/カラー・モノクロで表現される長尺『日記』三部作であろう。中心となる人物は“ユリ”。1947年、彼女はソ連からハンガリーに戻り、やがて映画製作を開始、1956年のハンガリー事件を経て、民主化運動の挫折の体験に至る、時代に向かい合う一人の女性の姿が描かれる。

 ほか、「この発想はどこから来るのだろう」と感服させられたのが、アンナ・カリーナも登場する『ジャスト・ライク・アット・ホーム』だ。ある少女が犬を飼っている。別に血統書付きというわけでもない、ありふれた犬だ。だが少女にとってこの犬はワン&オンリーのものであり、替えが利かない。そしてある男が、この犬を強烈に欲しがり、信じられないほどの金額で手に入れる。犬と一緒にいたい少女と、この男はやがて不思議な同居を始め――というだけで特異なストーリーだが、これは映画全体の序章でしかない。

 アニエス・ヴァルダの映画製作にもインスピレーションを与えたマールタ監督の、ワンダーランド的世界を満喫できる貴重な機会。11月14日から新宿シネマカリテ、ヒューマントラスト渋谷ほか全国公開。また一部劇場では第1弾の5作品も再上映される(詳しくはホームページを参照)

特集上映<メーサーロシュ・マールタ監督特集 第2章>

11月14日から新宿シネマカリテ、ヒューマントラスト渋谷 ほか全国順次公開

●『エルジ』
1968年/ハンガリー/スタンダード/モノクロ/84分/HDデジタルリマスター/G
字幕翻訳:森彩子
字幕監修:コロンツァイ・バーバラ

●『月が沈むとき』
1968年/ハンガリー/シネマスコープ/モノクロ/86分/2Kレストア/G
字幕翻訳:森彩子
字幕監修:コロンツァイ・バーバラ

●『リダンス』
1973年/ハンガリー/スタンダード/モノクロ/81分/4Kレストア/PG-12
字幕翻訳:高橋文子
字幕監修:コロンツァイ・バーバラ

●『ジャスト・ライク・アット・ホーム』
1978年/ハンガリー/ビスタ/カラー/109分/4Kレストア/PG-12
字幕翻訳:高橋文子
字幕監修:コロンツァイ・バーバラ

●『日記 子供たちへ』
1980-83年/ハンガリー/スタンダード/モノクロ/108分/4Kレストア/G
字幕翻訳:森彩子
字幕監修:コロンツァイ・バーバラ、秋山晋吾

●『日記 愛する人たちへ』
1987年/ハンガリー/スタンダード/カラー・モノクロ/132分/2Kレストア/G
字幕翻訳:森彩子
字幕監修:コロンツァイ・バーバラ、秋山晋吾

●『日記 父と母へ』
1990年/ハンガリー/スタンダード/カラー・モノクロ/117分/2Kレストア/G
字幕翻訳:森彩子
字幕監修:コロンツァイ・バーバラ、秋山晋吾

配給:東映ビデオ
(c) National Film Institute Hungary – Film Archive

公式サイト
https://meszarosmarta-feature.com/