小説家・村井理子の実体験を基にした作品。映画タイトルは、兄が先に亡くなって骨になってしまったことに由来する。この兄、かなり自由奔放なキャラクターで妹(村井)はそれを疎ましく思っていた。その自由奔放さゆえか、妙に他人に愛される一面もあったようだが、それも彼女にとっては理解を超える要素の一つであった。だが亡くなってしまえばその手続きやら何やらでどうしても兄の幻影とかかわりを持たずにはいられなくなり、結果として親族大集合のような場にも顔を出さざるを得なくなるし、兄の遺族とも会い、兄が住んでいた住居の「あとかたづけ」にも携わざるを得なくなる。

果たしてそこからの毎日に広がっていたのは、「妹の知らない兄」像だった。とにかく愛されているのだ。子供にとってもなんだかんだいって良き父親であり、妻にとってもなんだかんだいって憎めない元夫であった。そして兄は妹のことを誇りに思っていたことが、すこしずつわかってゆく。このあたりの、徐々に氷のとけていくような描写も見事だが、その後、物語はさらに深みを見せ、「妹が小説家である事実」をフル動員したかのようなイマジネーションが広がっていくのが楽しい。兄妹が子供だった、「昭和時代」の描写もキメが細かい。脚本・監督は中野量太、出演は柴咲コウ、オダギリジョー、満島ひかり、青山姫乃、味元耀大ほか。
映画『兄を持ち運べるサイズに』
2025年11月28日(金)TOHOシネマズ日比谷 他、全国ロードショー
<キャスト>
柴咲コウ オダギリジョー 満島ひかり 青山姫乃 味元耀大
<スタッフ>
原作:「兄の終い」村井理子(CEメディアハウス刊)
脚本・監督:中野量太
制作プロダクション:ブリッジヘッド/パイプライン
製作幹事:カルチュア・エンタテインメント
配給:カルチュア・パブリッシャーズ
(C)2025 「兄を持ち運べるサイズに」製作委員会