ひじょうにスタティックに、アーティスティックに描かれているように感じたが、一皮めくれば血と暴力と苦悩が噴出してくる。2001年公開の問題作『ガーゴイル』の、4Kレストア版が1月30日から新宿ピカデリーほかで上映される。監督のクレール・ドゥニはヴィム・ヴェンダースやジム・ジャームッシュらの助監督を務めた才人だ。

シェーン(ヴィンセント・ギャロ)とジューン(ベアトリス・ダル)はハネムーンでパリを訪れた。新婚旅行でパリとはベタかもしれないが、幸せや華やかさが保証されたようなものであるはずなのに……。英語タイトル『Trouble Every Day』が示すように、とにかく暗雲がたちこめる。シェーンはジューンを「抱けない」、もしくは「抱くことを躊躇せざるを得ない」。というのは、性行為中に相手への殺意が芽生えてどうしようもなくなるからだ。そしてシェーンはそんな自分について悩んでいる。だが、この悩みを持つ者は彼一人ではなかった。物語の核に迫る、もう一つのカップルが、レオ(アレックス・デスカス)とコレ(ベアトリス・ダル)のふたり。レオはコレを監禁していて、しかもコレはシェーンと同様の悩みを持っていた。そして物語ではシェーンとレオの結びつきについても描かれる。文字通り「や(殺)るか、や(殺)られるか」の世界だ。
カンヌ国際映画祭のプレミア上映時には途中退場者や気絶者が出たという、いわくつきの一作。個人的にはそんなことはなかったが(ギャロに関しては、彼がミュージシャンとして来日した時に公演を見た、という親しみもある)、このストーリーが、日本を舞台にした、日本人役者による、日本語劇に衣替えされたなら、私も気絶するかもしれない。
映画『ガーゴイル 4Kレストア版』
1月30日(金)新宿ピカデリーほか 全国ロードショー!
監督:クレール・ドゥニ
出演:ヴィンセント・ギャロ、ベアトリス・ダル、トリシア・ヴェッセイ、アレックス・デスカス、フロランス・ロワレ=カイユほか
2001年/フランス/フランス語/100分/カラー/R15+/字幕翻訳:橋本裕充/原題:Trouble Every Day/配給:エクストリームフィルム
(C)MESSAOUDIA FILMS-REZO PRODUCTIONS-ARTE FRANCE CINEMA-DACIA FILMS-KINETIQUE INC.