『ロスト・バケーション』制作陣による力作『元カレとツイラクだけは絶対に避けたい件』。元彼元カノ再会＋青空＋碧海＋乱気流＝パニック！

　『元カレとツイラクだけは絶対に避けたい件』

　邦題を見るだけで「元カレ」と「元カノ」が出会ってしまったんだな、同じ飛行機に乗り合わせてしまったんだな、その飛行機の調子が悪くて墜落しそうなんだな、等の情報が読み取れる。まさに、そう展開していくのだ。

　が、そこに至る設定がまた、楽しい。イギリス・ロンドンの寒々とした都会的風景と、モーリシャス島の雄大な風景が緩急を生み、レゲエ・ミュージックのルース（ｌｏｏｓｅ）なノリが心を和ませ、出演者たちによるこれぞ現代英語という感じの会話に耳をそばだたせられる。

　明日は、モーリシャスからちょっと離れた南の孤島、ロドリゲス島で親友の結婚式が行われる。モーリシャスの海辺では、さっそく前夜祭的な盛り上がりが始まった。昔の仲間がどんどん集まってくる———-。

　翌朝、あるアクシデント（これが物語上、とても重要）によって、「元カレ」と「元カノ」は飛行機を逃す。その島へ行く飛行機は1日1便。あわてた二人は、気のいいおじさんの操縦する小型機に乗って、上には雲ひとつない青空、下には青い海というシチュエーションのなか、勢いよく島に向かうのだが、青の青が青いほど、パニックやダークネスの闇が深まっていくのも事実であり、この映画はそれをガチっと捉えているのだ。