子供たちの笑顔を守れ! サンタに扮したメル・ギブソンが、謎の暗殺者と死闘を展開する『クリスマス・ウォーズ』

 クリスマスといえば何をイメージするだろう? 和やかな団らん、ツリーに施されたカラフルなデコレーション、しんしんと降り積もる雪、聖なるクリスマス・ソング、サンタのおじさん、それぞれがいろんなことを思い浮かべて、暖かな気持ちになるに違いない。その“暖かな”はずのクリスマスに、暗殺、死闘、撃ち合いといったファクターをぶつけた奇想天外な映画がこの『クリスマス・ウォーズ』である。

 『マッドマックス』や『リーサル・ウェポン』シリーズでおなじみのメル・ギブソンが扮するのはずばり、サンタクロース。1年に1度のサンタクロースとしてのパフォーマンスのために、たくさんの従業員が働くおもちゃ工場を経営している。が、このサンタ稼業、「サンタは信じない」という子供も増えてきたし、政府からの報酬も減ってきて、なかなか以前のようにはいかない。だが“良い子”はまだまだたくさんいる。そこで彼は工場で兵器の製造も始める。

 これがファクターAとすると、ファクターBは、こうだ。裕福な家に生まれた、他人と自分を比べて優位に立つことだけが生きがいのような、ずるがしこくて嘘の得意な子供がいる。サンタは彼の人間性を知っているので、ある年のクリスマスには“石炭1個”をプレゼントする。プライドの高い彼は激怒し、カネの力に任せて暗殺業者にサンタを殺すよう依頼する。

 AとBがぶつかり、からみあい、エゴをむき出すかと思えば他者への愛情を感じさせるシーンも多々あって、アクション・シーンもたっぷり。ラスト近く、あんなに白と黒赤色を生かした場面を、ぼくはいままで見たことがなかった。監督・脚本はイアン・ネルムズ&エショム・ネルムズ。

映画『クリスマス・ウォーズ』

**10月1日(金)新宿バルト9ほか全国ロードショー

監督・脚本:イアン・ネルムズ&エショム・ネルムズ
音楽:モンド・ボーイズ
撮影:ジョニー・デランゴ
編集:トレイトン・リー
出演:メル・ギブソン、ウォルトン・ゴギンズ、マリアンヌ・ジャン=バプティスト、チャンス・ハーストフィールド
2020年/イギリス・カナダ・アメリカ/カラー/100分/シネマスコープ/英語/5.1ch/字幕翻訳:髙橋彩/原題:FATMAN/レイティング:PG12
配給:クロックワークス
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