ラブコメ、サスペンス、下心、すれ違い……“大人の青春”がふんだんにつめこまれた一作『人生の運転手(ドライバー)~明るい未来に進む路~』

 年齢を重ねても、苦労や痛みを刻み込んでも、それでも新しい朝はやってくるし、青春の気分に戻れるんだ——そう納得させてくれる快い映画だ。主人公ソックを演じるイヴァナ・ウォン(シンガー・ソングライターとしても活動)の軽やかな発声と振る舞いもすごく観る者をポジティヴにさせる。香港で「サザエさん」の実写版が作られるとしたら、彼女の主演で観たいと思った。監督はパトリック・コン。

 ソックは恋人が経営するチリソース店で働いている。ワン&オンリーのおいしさで、遠くからもひとが食べにくる名店だ。が、そこに商機を感じたある女性が、ソックの恋人と急接近する。ソックは明朗なタイプだが、その女性はミステリアスな美女という感じ。その女性に恋人がひかれていくのは、よくある話という感じであるものの、そこからが、笑いあり、共感あり、あっと驚くサスペンス的展開ありと、色とりどり。いろんなエンタテインメント的展開を仕込ませながら、エンディングまで疾走する。

 それにしても、チリソース店の従業員がなぜバス運転手に? そのあたりの描き方にもわくわくさせられた。

映画『人生の運転手(ドライバー)~明るい未来に進む路~』

10月1日(金)よりシネマカリテほか全国順次公開

監督:パトリック・コン
出演:イヴァナ・ウォン、フィリップ・キョン、エドモンド・リョン、ジャッキー・ツァイ
配給:武蔵野エンタテインメント株式会社
2020年/香港/105分/シネマスコープ/5.1ch/広東語・北京語/日本語字幕:最上麻衣子/原題:阿索的故事/

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