時代が追いついたスリル作。中川奈月監督の『彼女はひとり』が待望の公開へ

 「孤独な復讐が始まる!」
 パンフレットに書かれたキャッチフレーズに思わず身を乗り出してしまった。しかも“復讐”が赤字で記されているのだ。

 気鋭の中川奈月が脚本・編集・監督を務める『彼女はひとり』が10月23日より東京・新宿K’s cinemaほか全国順次公開される。「復讐」の呼び水となっているのは「禁断(かもしれない)恋」「自殺」などであり、それは決して珍しいというほどのテーマではないはずだが、生者と死者の描き方がともに斬新、加えてエンディングに向かう展開が猛烈かつ濃厚。60分間の凝縮されたスリルがここにあるといっていい。

 5年前に撮影されたということだが、時代の5年先をいっていたのかもしれないと思う。立教大学大学院の修了制作として制作された作品とのことだが、撮影には芦沢明子(黒沢清監督などの作品を手がける)が参加。“確固たるヴィジョン”を感じさせるキャメラ・ワークも大きな魅力だ。

 主人公の澄子役に福永朱梨、幼馴染の秀明役に金井浩人が扮し、その他、中村優里、櫻井保幸なども登場。今をときめく売れっ子たちのアーリー・ワークスが楽しめるのも貴重といえよう。

映画『彼女はひとり』

10月23日(土)より、新宿K’s cinemaほか全国公開

<キャスト・スタッフ>
福永朱梨 / 金井浩人 美知枝 中村優里 三坂知絵子 櫻井保幸 榮林桃伽 堀春菜 田中一平 山中アラタ

脚本・編集・監督:中川奈月 プロデューサー:ムン・ヘソン 撮影:芦澤明子 照明:御木茂則 録音:芦原邦雄  整音:板橋聖志 編集協力:和泉陽光 音楽:大嶋柊 美術:野澤優 衣装:古月悦子 助監督:杉山修平 スチール:明田川志保、吉田留美 特別指導:篠崎誠 配給宣伝:ムービー・アクト・プロジェクト 共同配給:ミカタ・エンタテインメント
2018/カラー/ビスタ/60分
(C)2018「彼女はひとり」

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