世界各国から選出された、まだ日本では陽の目を見ていなかった作品を一挙上映する恒例企画「未体験ゾーンの映画たち」が、今年も始まった。興味津々のラインナップの中で、ひときわ異彩を放つのが、人呼んで“カナダ殿堂入りのテクノ・スリラー”こと『COME TRUE/カム・トゥルー 戦慄の催眠実験』。アンソニー・スコット・バーンズ監督の本作品は「世界3大ファンタスティック映画祭」の一角として知られるシッチェス・カタロニア国際映画祭で入選、また、カナダ・ファンタジア国際映画祭では最優秀観客賞と最優秀カナダ長編映画賞(シルバーオーディエンス賞)の2冠に輝いた。
主人公のサラは、不眠症に悩む高校生。親との折り合いが悪くて外泊や野宿を続ける毎日、さらにお金にも困っていたので、それならばと、いくばくかの報酬も得られる、大学の「睡眠」に関する臨床試験を受けることにした。そこに行くと何人もの試験仲間(といえばいいのだろうか)がいたが、彼らの「夢見ているときの状態」がサラから恐怖を呼び起こし、いつしかサラは寝ているときも起きているときも恐怖にがんじがらめになる。そんな彼女のまわりで不思議な距離感をとりつつ動いているのが研究員・リフなのだが、やがて、彼とサラとの人間関係に物語のウェイトが移りゆく。「幻想的」「神秘的」でありつつ、「残酷さ」「痛み」もしっかり描きつつ、誰にも等しく訪れる「時の流れ」との対峙を意識させられる内容――――と書いても、なにかむずがゆさが残るが、見れば瞭然、物語の世界観をすっきりと飲み込めるはずだ。
サラ役はバンクーバー・レオ賞で3度の最優秀主演女優賞を得たジュリア・サラ・ストーン。バーンズ監督は脚本(ダニエル・ワイセンバーガーと共同)、音楽(「Pilotpriest」名義でエレクトリック・ユースと共同)にも異能を発揮する。
映画『COME TRUE/カム・トゥルー 戦慄の催眠実験』
2月9日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷にて上映
キャスト:ジュリア・サラ・ストーン、ランドン・リボアイアン、カーリー・リスキィ、クリストファー・ヘザリントン、テドラ・ロジャース、スカイラー・ラジオン
脚本:アンソニー・スコット・バーンズ、ダニエル・ワイセンバーガー 撮影・編集・監督:アンソニー・スコット・バーンズ 共同プロデューサー:ニコラス・ベチャード プロデューサー:スティーブン・ホーバン、マーク・スミス、ブレント・カウチュク 音楽:エレクトリック・ユース 日本語字幕:堀池明 宣伝デザイン:デザイン原 宣伝:河合のび、滝澤令央、松野貴則 配給:Cinemago
2020/カナダ/英語/105分/R15+(映倫区分)
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