観ているあいだ体が冷えていくのが分かる。画面に充満する雪景色や暴風や氷を見ているうちに、その寒さや厳しさがスクリーンを超えてリアルにこちらに飛びかかってくるような錯覚を覚える。そしてフォーリー（効果音）の数々が異様に生々しく鮮明だ。ストーリー、画面、サウンドが一体となって“怖さ”を打ち出してくる。
『ティル・デス』というタイトル通り、死に至るまでのありとあらゆるものが作品には刻み込まれているのだが、真の死に至るまでに、何人もの人数が死に近いものを何度も経験する。原作者はよほどすごいトラウマを抱えているのだろうかと勘繰ってしまいそうだ。
監督・脚本は、ハリウッドの映画関係者とのコネクションが与えられるミニ・コンペティションの「Hollywood Just4Shorts」でベスト・ホラー賞を受賞したS・K・デール。長編作品はこれが初めてだそうだが、スリラーとホラーの見せどころを熟知した辣腕という印象を強く受けた。
主演は『トランスフォーマー』シリーズで名声を確立したミーガン・フォックス。彼女が扮するエマと、マークはちょっと見、うらやまれるほどセレブな夫婦。しかし実のところは亀裂が入りまくっていて、エマには新たな意中の男性がいる。マークは結婚記念日に人里離れた湖畔の家で「もう一度、結婚生活をやり直そう」とエマに告げる。が、そのセリフは“愛の再確認”ではなく“恨へのプレリュード”だったのだ。
以後、物語に登場する男たちが揃いも揃って、うさんくさく狂気に満ちているのもポイントだ。2月11日から新宿バルト９、川崎チネチッタ、横浜ブルク13ほか全国順次公開。
映画『ティル・デス』
2022年2月11日(金) 新宿バルト９ほか ロードショー
監督：S・K・デール
脚本：ジェイソン・カーヴィ
撮影：ジェイミー・ケアニー
出演：ミーガン・フォックス、オーエン・マッケン、カラン・マルヴェイ、ジャック・ロス
2021年｜アメリカ｜カラー｜シネスコ｜5.1ch｜91分｜英語｜日本語字幕：横井和子
原題：TILL DEATH｜レイティング：PG12
配給：クロックワークス
（C）2021 Til Productions, Inc. All Rights Reserved