「元受刑者」が偏見のなかで、自らの文化、家族、ルーツとのつながりを取り戻してゆく。『モロカイ・バウンド』

 「モロカイ」とは、オアフ島やマウイ島の間にあるモロカイ島のこと。「観光開発が最も少なく、手つかずの自然とハワイの伝統文化が今も息づく。人口は約7千人、ほぼ半数はネイティブ・ハワイアンの血を引いている」とのことだ。このモロカイ島を舞台にしたのが本作である。

 主人公の男性・カイノアはおよそ7年もの間、収監されていた。どうやらアルコールやドラッグが関係する不祥事を起こしてしまったようだが、とにもかくにも彼は出所し、保護観察官に見張られるなか、生まれ変わろうとしている。はなればなれになった人たちにも会いたいし、子供が今どうしているのかも気になる。だが当然ながら彼を悪の道へと誘った面々も暗躍している。いくら長い間善を積み重ねても、一瞬の悪でそれらが崩壊してしまう、それが人生だ。だがカイノアはあきらめない。そこに共感する人は多いはずだ。

 カイノアの贖罪、そして人々との和解が前半で描かれ、後半では、罪は罪として自分の中でしっかり認識しながらも、それでも、あがくようにして希望の明日へと向かおうとする姿を垣間見せる。監督のアリカ・テンガンは沖縄にルーツを持つネイティブ・ハワイアン。カイノアを演じるホールデン・マンドリアル=サントスは役者のほか、ミュージシャンとしても活動しており、ほか、役者たちにはアリカ監督の仲間が集結しているという。

 監督は、この映画でカウ・カ・ホク賞(第44回ハワイ国際映画祭)を受賞、さらに映画自体はメイド・イン・ハワイ長編劇映画賞に輝いている。

映画『モロカイ・バウンド』

10月17日から恵比寿ガーデンシネマ ほかにて公開

監督・脚本:アリカ・テンガン
出演:ホールデン・マンドリアル=サントス、アキレス・ホルト、カマラニ・カペリエラ、カレナ・シャーリーン、アーイナ・パイカイ、レイシー=リー・カヘアラニ・モラレ、ハレ・ナトア、モキハナ・パレカ=ジャクソン、カヴィカ・カヒアポ

音楽:ロジャー・スエン 衣装デザイン:ジェイド・アレクシス・リュウサキ 編集:カリ・カサシマ プロダクションデザイン:モアナ・ホム 撮影監督:チャピン・ホール プロデューサー:ジェシー・オディオ、アリカ・テンガン、チャピン・ホール、ニーナ・ヤン・ボンジョヴィ、フォレスト・ウィテカー 共同プロデューサー:マシュー・デクニーフ、サラ・ヒサエ、ミキアラ・ペスカイア、ジャスティン・ア・チョン
2024/112分/アメリカ/英語、ピジン語、ハワイ語/原題:Molokai Bound/PG12
配給・宣伝:ムーリンプロダクション
(C)2024 MOLOKAI BOUND, LLC, ALL RIGHTS RESERVED

公式サイト
https://molokaibound.jp/